屑の結晶 (光文社文庫 ま 26-2)
屑の結晶 (光文社文庫 ま 26-2) / 感想・レビュー
えみ
そうか…皆それぞれ欠如しているんだ。必要以上のものを持って進めるほど余裕はないし、執着も無いのだろう。生きる為にわざと切り捨ててきたものが今、幻痛となって悲劇の連鎖が起きたのだ。被害者、加害者のみならず、弁護士や依頼人、そして全ての関係者達の隠された残酷さは、取り返しのつかない後悔と喪失感を生み「不幸」という後遺症だけが残される。女性を殺害した罪で逮捕された男は反省の色なし。人を小馬鹿にした発言や開き直った態度をとり続ける…がしかし何かがおかしい。自分勝手な望みは、浅はかで空虚だ。純粋な愚かさに震えた。
2022/10/16
みやこ
いたたまれない程にやるせない思い込み。けれども。それが彼が生きていくための支えだった。大人になり切れなかった、悲しい程に幼い魂。彼の世界はあまりにも狭く、孤独で心許ないものだった。その世界に色を添えたのは、母からの呪縛を拭いきれなかった彼女。そんな彼女との一方的な約束がとても哀しい。それでも、彼女はその想いを彼に託し、彼は受け止めた。そして、プロの職務を逸脱した弁護士。だが、それが彼女の選択。どこかで何かが少しでも違っていたら、こうはならなかったかもしれない。けれども。ままならないのが多分人生なのだ。→
2022/10/17
mayu
初読み作家さん。二人の女性を殺した罪で逮捕されたのは、送検される時に笑顔を浮かべピースサインをするような男、小野宮楠生。彼に好意を寄せる複数の女性で結成された救う会から依頼され男の弁護をする貴子は、彼の定まらない言葉や表情に困惑する。本当に彼が殺したのか、真相はどこにあるのか…。読んでいる内に彼の本当の姿はどこにあるのか、知りたい気持ちが加速する。閉鎖的な世界で見つけた小さな光。光は彼を救ったのだろうか。どこまでも続く純粋さと逃れられない親の存在に読み終えた後もやるせない気持ちが浮かんでいた。
2022/10/26
Junichi Yamaguchi
『俺の将来なんてどうでもいいよ』… いやぁ、辛い。 次から次へ明かされる事実に胸の痛みは増すばかり… これは純愛か? 僕には理解できないし、理解できる環境を味わいたくはない。。
2023/01/03
らび
これに似たような作品があったな。あの大作を思い出しながらの読了。
2023/02/05
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