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T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

作家
詠坂雄二
出版社
光文社
発売日
2017-07-19
ISBN
9784334911744
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「T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」のおすすめレビュー

絶海の孤島で6人死亡しビデオテープだけが残った…最後の一行まで読み飛ばせない 詠坂雄二著『T島事件』

『T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか』(詠坂雄二/光文社)

 推理小説とは作者と読者の知恵比べだといわれる。解決篇を待たずして真相に辿り着けば、読者は作者に勝ったといえるだろう。そのために読者はページの隅々にまで目をこらし、矛盾や不審点を探し出そうとする。優れた推理小説ほど、読者が気づかなかった違和感をつなぎ合わせて、鮮やかに事件を解決する探偵が神がかって見えるはずだ。しかし、こういう考え方もできる。「推理小説とは作者の描き方次第で、何の変哲もない事件さえもドラマティックに見せられる」と。

『T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか』(詠坂雄二/光文社)は推理小説の構造そのものに新たな視点を投げかける問題作だ。「事件性が認められない」事件に対し、探偵はどのような真相に辿り着くのか、そして、本作が本当に提示している謎は何だったのか、読者は最後まで釘付けになるだろう。

 悲劇は2005年、フェイクドキュメンタリー映画の撮影で、無人島に渡った6人のスタッフに降りかかった。警察は事件性なしと判断し、捜査はすぐに打ち切られる。死亡現場に不審点がな…

2017/10/21

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T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか / 感想・レビュー

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🐾Yoko Omoto🐾

フェイクドキュメンタリーの撮影クルー6人が、下見に訪れた無人島で全員死亡。果たして真実はどうだったのか。十角館のオマージュである今作は、名探偵「月島凪」を知る作家の詠坂が事件の全容を小説に起こしたという、お得意のメタミス構成が冴え渡る。作品を創り出す者の意図と作為がノンフィクションとフェイクの境界を曖昧にし、全く新しい伏線回収の形を見せてくれる、その様は壮快であり快感だ。「思うに先行作品のオマージュを試みるとは、作品外にあるものを伏線とするような行為なのでしょう」とは作者の弁だが、まさにそんな作品。傑作。

2017/09/29

nobby

詠坂作品初読み。十角館のオマージュと聞いて読み、なるほど30年経っての進化系を堪能。そのサブタイトルから暗示された孤島で6人全員が死ぬ事実が、どの様に描かれるのかに興味津々。フェイクドキュメンタリーのロケハンに際しての撮影映像から、掘り起こされる生命の消えゆく様は生々しい。ただ、カメラ目線で追いながら語っていくのは斬新ながらも少々退屈…交互に差し込まれる推理部分も月島凪のキャラが掴みきれなかったのが少し消化不良だった。それでも予想通り何かあるとは思わせての補遺で、伏線解明続いてのラスト頁その一行はズルい!

2017/10/31

ちーたん

★★★☆☆映画製作のロケハンで孤島に上陸した六人が一夜にして全員死亡した。克明に記録された膨大なテープの遺留品。警察は既に事件に幕を引く。しかし遺作として世に発表したい男は名探偵・月島凪に事件に不自然な所はないか再調査を依頼。“絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか?”◆詠坂作品はこれで2作目だけど、本作も癖が強い~!終盤の解決編を経てラストに明かされる本書の仕掛けにハッとはしたもののそのためにずっと読んでたのかという脱力感が。正直個人的には理解し難い真相。でも雰囲気は好きだったので★3に。

2021/01/11

モルク

ロケ班6人全員が孤島で全員死亡する。なぜに…?これは綾辻さんの「十角館の殺人」へのオマージュが色濃い作品だなぁ。でも、好みが分かれ、万人向きではない。私は、結構好きだけど、読んでみて!と人にすすめるのはちょっとね。だいたい詠坂さんの作品は、そのような傾向にあるが、好きな人には快作と呼べる作品。

2018/07/02

あも

何とも評価しづらい作品。"詠坂氏"の作品で登場したことのある名探偵の話…とはいえ、本人は解決編まで現われない。映画のロケハンのため無人島に渡った6名のスタッフが死亡した事件。本書の大半を占める事件再現及び推理パートは正直、冗長で面白みが見出せず。解決編も拍子抜けに近い。が、その冗漫ささえ計算なのかと思わせるウルトラCが補遺で明らかになるに至り、やられたとし言えない気持ちよい敗北感に包まれた。それだけで価値があるとも言えるが、道中の退屈さも確かで、やはり評価が難しい。ただ、著者が鬼才であることは間違いない。

2017/11/15

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