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バケモンの涙

バケモンの涙

バケモンの涙

作家
歌川たいじ
出版社
光文社
発売日
2020-06-23
ISBN
9784334913519
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ジャンル

バケモンの涙 / 感想・レビュー

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鉄之助

日本初のポン菓子製造機を作った吉村利子さんをモデルにした小説、と聞いて読みたくなった。著者が「♂♂ゲイです。ほぼ夫婦です」の人気ブロガーというところも、惹かれた理由だった。主人公は「女らしくしなさい」と言って育てられた大阪の商家の娘。しかし、機械作りが好きな活発派。”自分らしさ”探しをした結果たどり着いたのは、「答えは探すもんやないねん。見つけるもんでもない。決めるもんなんやって!」。著者の生き方、と重なるようで感動。もう少し、ポン菓子製造機を製作する際の苦労話や、全国販売への手がかりなどが読みたかった。

2020/10/21

いつでも母さん

「ありがとう、生きててくれて」私は今は亡き父にこの言葉を捧げたい。おかげで今の私がいる。沢山の人がそれ以上の沢山の方々を思う8月。いい作品と出会えた。これは映像が浮かび朝ドラを見ているようだった。何度も涙した。「戦争は、誰が、なんのためにはじめるのでしょう」天国の友へ綴る手紙の一行は、未だに地球上から無くならない戦争、未来を託す子ども達へと繋げたい言葉だ。『一念』で作り上げた穀類膨張機。ポン菓子!懐かしい・・次に食べるときはこの作品を思い出すに決まってる。お勧めです。

2020/08/11

みっちゃん

ポン菓子。私が幼い時には「ドン」と呼び、袋には「バクダン」などと印刷されていた。あの昔懐かしいお菓子が日本中の子ども達の口に入るまでに、こんな劇的な経緯があったとは。終盤はほぼ涙目で読んだ。飢えで力尽きる幼子、空襲で生きながら焼かれる赤ん坊、読むのも辛い描写もあったが、でもそんな子ども達に笑顔と元気を取り戻したい、1人の娘の一念で起こした行動が徐々に周りの人々を動かして、ついには大きなうねりになっていく。読みごたえがあった。エピローグ、志半ばで命を絶たれた友への手紙がさらに胸に響く。

2020/12/24

海猫

事実をベースにして書かれた小説。主人公のトシ子は大阪府八尾市の龍華町の出身で、物語もそこから始まる。ここが私の地元なので、思いきり気持ちが入った。ああ、あのへんで戦時下にこんな出来事があったのだな。とか、あれこれ考えてしまう。で、栄養不足の子どもたちのために、トシ子はポン菓子製造機を作ろうと、北九州へ乗り込む。実話がもとで地元が絡んでること抜きでも、面白く読める女性の一代記。文章がしっとりと落ち着いた感じで読みやすく、お話はドラマチック。良質のドラマを観ているようで引き込まれる。ポン菓子を食べたくなった。

2020/10/10

おつぼねー

ポン菓子製造機を作った実在女性の物語。コレいい!自分らしく生きる事は、本気で何かをする事なのかもしれない。併せて身近な人が空襲によって死んで行く描写は、戦争を知る・命を考える大切な証。戦後75年。平和へのバトンを受け取り未来に渡して行かなければと心に刻み本を閉じた。

2020/08/18

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