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涅槃の雪

涅槃の雪

涅槃の雪

作家
西條奈加
出版社
光文社
発売日
2011-09-17
ISBN
9784334927783
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涅槃の雪 / 感想・レビュー

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とん大西

あぁ沁みます。『心淋し川』もそうだったように、そっと撫でるような人情の機微。名人芸のような西條さんの筆致を堪能しました。ご存知遠山の金さんに仕える町方役人・門佑の朴念人な日常。老中・水野忠邦の強引なインフレ対策に息さえ詰まる天保の世。江戸の町から賑わいは消え、人心は荒む。金さんの計らいで元女郎・お卯乃の身元を引き受けてから小さな幸せを感じ始めた門佑。が、いつまでたっても公私ともに不器用な朴念人。己れの人生の有り様…生き辛い世だからこそみつめてしまうのかもしれません。ほろ苦い「茂弥・勢登菊」の話が小粋です。

2022/03/26

きりこ

天保の改革を軸に取り締まる側の与力高安門祐と、窮屈な暮らしを強いられる市井の人々の苦難を織り込みながら展開する連作短編。奢侈禁止令~寄席取払申付~株仲間解散令~改革の終焉までが夫々短編にまとめられ面白い構成。冷酷非情で疎まれていた鳥居耀蔵の信念を曲げない強さとふと見せる人情の欠片。配流後の生き様が印象的で一括りに悪者扱い出来ない様にも思えました。鳥居より策をろうすることに長けていると言われた園江が面白い。園江の謀にはあっと驚かされたが素晴らしく才覚のある女性だと思う。門祐は姉には敵わないですね。続く→

2014/02/05

greenish 🌿

吟味方与力・高安門佑は、ある事件をきっかけに、元女郎・お卯乃を屋敷に引き取る。粗野なお卯乃ではあるが、話し相手としては悪くない。そう思った矢先、天保の改革が発布される。生気を奪われるようなお上の厳しい締め付けに立ち向かう気骨ある与力と市井の人々の意地と気概を描く  ---水野忠邦に遠山景元、鳥居耀蔵。江戸の世の政道の表と裏、そこに暮らす江戸庶民の生き抜く力を存分に味わいました。そして、弟への慙愧の念を抱くお卯乃の来し方、高安・お卯乃に訪れる物語の結末に、痛みと温もりを感じる読後感でした。

2013/10/17

キムチ27

時代は天保の改革の前後。北町の吟味方与力高安門佑は、男丈夫ながら人付き合いが得手でなく、些か仲間内では浮いてしまう。新任奉行遠山になぜか気に入られ、日参を命じられ・・水野忠邦・鳥居耀三・南町奉行矢野が絡んで牽制し合う。隠売女手入れや奢侈禁止等御政道のすったもんだが門佑の御勤めや日常に波を起こす。そして知りあうお卯乃。苦手な実姉お園との諍い、彼女の本意。がんじがらめに見える江戸の生活も心の在りようによって息苦しさを解き放たれる様がよく描かれている。装丁のはんなりの雰囲気そのままの佳作。

2014/02/15

これ一度挫折したのですが、どこで挫折したのかサッパリわからないほどぐいっとのめり込んでしまいました。西條さんの作品やっぱり好きです。切なさと真面目と笑いの配分がちょうどいいんだな~。門佑さんが主人公だけれど、完全に園江さんにもってかれてるよ、門さん!姉上最強すぎる。

2016/01/20

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