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母親ウエスタン

母親ウエスタン

母親ウエスタン

作家
原田ひ香
出版社
光文社
発売日
2012-09-15
ISBN
9784334928490
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母親ウエスタン / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

原田ひ香さんの世界観がびっしりつまっている見事な作品でした。全体に漂うどこか儚い雰囲気、ところどころにちりばめられているユーモラスなひとコマ、誰もがもちえる人間の脆さ、そして何より自分というモノを決して見失わない真(芯)の強さなどを本作でじっくりと味わいました。タイトルから想像するとどこかコミカルな作品なのかなと思っていましたが、内容は全く違う素晴らしい母性のヒューマンクロニクルです。さすらいの‘母親’として、あてもなく渡り歩く「広美」の軌跡の舞台に北海道の帯広や釧路、えりもが登場したのが印象的でした。

2016/02/20

utinopoti27

父子家庭にふらりと入り込み、子どもに母親の愛情を注いだと思ったら、いつのまにか姿を消す、放浪のウェスタンマザー・坂下広美。彼女はなぜ母親役を買って出るのか。そして心を許した途端に逃げられる父と子の心情やいかに・・。本作は広美の『母親遍歴』と、現在の彼女を追い続ける若者とその恋人という、時間軸が異なる二つのシナリオで構成されている。誰かの心を満たしても、自分は決して満たされることはない広美の永遠の贖罪があまりに哀しい。実際にはありえない設定を使って母と子の実像に切り込む、作者の手腕が冴える作品だ。

2019/04/22

taiko

母親不在の家に入り込み、子供のため母親として暮らし続けた広美。ひたすら母性の強い女性なのだと思っていましたが、実はそうではなかったのかも…最後に明かされる広美の本心には、少しショックを受けました。でも、だから子供達を置いて出て行くことが出来たのか。広美のしてきた事は広美のエゴでしか無かったのか…悩まされます。母親の存在が子供に与える影響は大きい。登場するそれぞれの母親に翻弄される子供達の姿に、母親とは、子供にとって何にも変え難い大切な存在ではあるけれど、ある意味罪深い存在でもあると、考えさせられました。

2016/01/10

風眠

母親がいない子どもが暮らす家庭を狙って、子どもの母親代わりをしたいとそれぞれの家庭に入り込み、ただただひたすらに子どもに愛をそそぐ広美。結婚とか、お金とか、そういう見返りは何ひとつ求めていない聖女っぷりに、何か裏があるんじゃないか?と疑いながら読了・・・結局、裏も何もなかった。あったのは無償の愛と、そして子ども無しでは生きてはこられなかった哀しい女の物語だった。拳銃のように母性を胸に抱いてさすらってる広美の姿は、まるで西部劇に出てくる無頼の一匹狼のよう。母親ではない「母性」について考えさせられる物語。

2013/01/27

M

父子家庭にフェイドイン、お母さんとして料理にお世話にマメに家事と子育てをして目処がついたら?フェイドアウトする広美。温かいのかシビアなのかよく分からない風変わりな雰囲気だが、広美の過去になにかしらそうさせる要因がありそう。子供達の身になると薄情で切ない気もする。これ、逆だと難しいよね。母子家庭にふらっと入り込む下心のない世話好き子煩悩男。。うまく想像できない。やっぱり女の人ってすごいなぁ。

2018/05/09

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