KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

イラクの小さな橋を渡って

イラクの小さな橋を渡って

イラクの小さな橋を渡って

作家
池澤夏樹
本橋成一
出版社
光文社
発売日
2003-01-24
ISBN
9784334973773
amazonで購入する

イラクの小さな橋を渡って / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

思考するコスモポリタン、池澤夏樹によるアメリカ主導によるイラク戦争直前のイラク各地の取材記。交易都市ハトラ近郊の川に架かる小さな橋。ここにもアメリカ軍のミサイルが飛来して、この橋を壊すだろう。アメリカ軍にとって、それは例えば4490BBといった抽象記号でしかない。だが、そのことによって死ぬのは、例えばミリアムという名の母親であったり、農夫アブドゥルであったりするのだ。西側からの論理(日本も当然これに与するのだ)と、現地イラクの実態には大きな乖離があるようだ。池澤夏樹にしか書き得ないルポルタージュ。

2017/04/28

どんぐり

2002年11月、池澤はジャーナリスト・ヴィザを取得し、2週間にわたってイラクを取材。その目的は、「もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか知りたかった」とある。実際、イラクの市井の人々と出会い、そのときに見たこと、感じたことを書きとめている。写真は、本橋成一によるもので、どちらかというとフォトエッセイに近い。池澤が取材した翌年、ブッシュのアメリカはイラクを空爆し、フセイン政権は崩壊した。

2021/06/25

chantal(シャンタール)

湾岸戦争後の2000年頃のイラク紀行。当時、経済制裁を受け抗生物質などの入手が困難で、イラクでは多くの子供が亡くなったらしい。戦争以外でも人は殺せる。一体どんな人たちの上に爆弾が落ちるのか?それを知るために池澤さんはイラクへ行った。そこで彼が見たのは私たちが当時マスコミなどで見聞していたフセイン独裁に苦しむ民衆、とは全く違う姿だった。私は常に思う、大きな力を持つ人や国の価値観で物事を測ってはいけないと。そして誰かが傷つくかもしれないと言う想像力を持たなければならないと。良書、多くの人に読んでほしい。

2023/03/21

TATA

図書館で見かけて手に取ってみた。良書。イラク戦争直前の2002年11月にイラクに入国。いかに自由がないとは言え、そこには普通の人が営む普通の暮らしがあるわけで。それを伝える写真は直接、かつ強力に情緒に訴えてくる。池澤さんの文章もだけどホントに写真の力が強烈。先進国のメディアは途上国をどうしても減点法で見る、というくだりには頷かされた。だからこそ自分の目で見ることが大切ということ、納得。

2023/05/07

James Hayashi

アメリカが侵攻する前のイラクを、著者が短い文章で綴られたルポ。砂漠の国であるが豊かな国であることを感じさせる。今まで自然の中で残されていた遺跡。多分イラク戦争の後では見る影もないであろう。つまり今まで平和であった国にアメリカは侵攻した。殺伐とした大地にチグリス、ユーフラテス川が流れる。川の流れのごとく、いつかこの国も復興していくことだろう。

2019/04/06

感想・レビューをもっと見る