トマス・ド・クインシー著作集〈1〉
トマス・ド・クインシー著作集〈1〉 / 感想・レビュー
傘緑
「ウィリアムズ氏が…あの余人の及ばぬ殺人劇を演じ、不滅の名声を勝ち得たのである」「見事な殺人の構成のためには、ただ単に、殺す阿呆と殺される阿呆、ナイフ、財布、暗い路地などといった道具立て以上のなにかが必要」この本は匿名の密告者による”殺人鑑定家協会”の会合の暴露である。ちなみにチクリ屋はどうなったか?協会員一同曰く「(もはや)発見されず!」レムが『虚数』の中で予言した死の芸術の到来の日まで幾何も無い。なのに鑑定家たちは未だ弱点である斯道の道徳的側面を昨日のものと出来ないでいる、たぶん根が善良なせいだろう
2016/10/17
春ドーナツ
とてつもなく重たい本だ。推定5㎏。徒歩15分の喫茶店まで運ぶのは重労働になる。271頁から読み始めるので、煙草は吸えないけれど、ブラックブラックガムで代用しながら、図書館で読破することに決めた。「藝術の一分野として見た殺人」に心酔した谷崎潤一郎は自ずから翻訳まで手掛けたそうだ。「『マクベス』劇中の門口のノックについて」は有名な小文らしい。ふむ。※未来の私へ。なぜ、271頁から読み始めたのか。それは「阿片常用者の告白」とその続編を先日読んだばかりだからだよ。
2018/12/08
傘緑
本好き、放浪癖、妄想癖、殺人愛好癖、あとは禁足事項の数々の嗜癖、嗜好と共通点が多すぎるため他人とは全く思えないほど愛着を抱いているド・クインシー。同じ素人愛好家として「芸術の一つの分野としてみた殺人」は、怖ろしいほどの文学的な技巧、教養、韜晦、諧謔をもって、紙価がむしろ下がるほど秘密裡に、本の看板を偽るほど平和的に、途中でたいていの人は迷子になるほど極めて遠回しにこの芸術を愛好することの実際的な健全さを主張し、多からずの人を啓蒙しこの道に引きずり込んだ偉大なる論考として引き倒すくらい贔屓にしてます。
2016/08/12
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