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緑のヴェール

緑のヴェール

緑のヴェール

作家
ジェフリー・フォード
貞奴
金原瑞人
谷垣 暁美
出版社
国書刊行会
発売日
2008-06-01
ISBN
9784336050281
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緑のヴェール / 感想・レビュー

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TANGO

図書館本。三部作完結。世界は様々な物語で出来ている。意思と意識を持った世界で、「人間」として生きていこうとする2つの物語は、現実かはたまた夢物語だったのか。楽園は見つかったのか、彼の地に何があるのか。メビウスの輪のように全ては表裏一体なのかも。読み返すとまた違う発見がありそうなシリーズだった。

2015/04/23

藤月はな(灯れ松明の火)

傲慢エリートだったクレイは「彼の地」を逞しく、贖罪のために放浪していた。獰猛犬のウッドがクレイの物語を聞きたがるところが人間らしいのにクレイはどんどん、自然に還っていくという反転が印象的。「沈黙の民」の辺りは「初めに言葉ありき」という世界創造の一節を思い出します。一方、美薬でクレイの意識と接続できるようになった人間でもなく、魔物でもない知的なミスリックスは人々に受け入れられるようになるが魔物としての彼を恐れ憎む人々から冤罪を掛けられるが・・・。最後の死刑執行人の様子になぜか、ぞっとしました。

2013/01/24

あたびー

#日本怪奇幻想読者クラブ 三部作の終話。元観相官クレイは愛犬ウッド、元怪物ミスリックスと共に彼の地を目指す旅に出るがミスリックスがクレイを食べたくなったことから袂を分かつ。ミスリックスは理想形態市の廃墟に戻るがクレイへの思慕耐えがたく、全てを記憶する彼の地の草や土からクレイの足跡を読み取り、美薬の助けを得てそれを綴っていく。これはそう言う物語だ。終盤物語は驚愕の展開と共にリドルストーリーの様相を呈する。真相は読者の解釈にまかされるのか?ミスリックスが人間でありたいために取る決断は哀しい。

2020/05/29

ハルバル

素直に読めば、第三部自体がミスリックスの願望が産んだ物語にすぎなかったということになる。なぜなら魔物に喰われた人間は、その記憶の中で生き続けることができるとすでに示唆されているからだ。そう考えれば、クレイの物語の中で自然と文明の対立というテーマが変奏され反復されていたこと、クレイの「死と再生」と「彼の地」の再生が重なりあっていたこともごく自然になる。つまり人間と魔物の中間的存在であるミスリックスの悲劇が第三部の物語だったのだ、と。それでもクレイは贖罪と再生を果たせたのだと信じたいが…

2017/08/20

Ai

たくましい狩人になったクレイと、人間になりたいミスリックスの物語が交互につむがれる。「彼の地」で起こる出来事は、どれも想像力を刺激する。形はどうあれ、最期に二人に平穏が訪れてくれて本当にうれしい。

2017/02/13

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