インヴィンシブル (スタニスワフ・レム・コレクション)
インヴィンシブル (スタニスワフ・レム・コレクション) / 感想・レビュー
ひさか
2021年9月図書刊行会刊。砂漠の惑星の新訳版。1964年発表の話だがアイデアは古びていない。レムらしいファーストコンタクトな物語。装丁が90度回転していて、本文、横書き?と思いましたが、ドッキリデザインだったです。楽しい。
2022/02/20
猫路(ねころ)
コンドル号の不可解な発見により、ファースト・コンタクトさえ意味をなさないまま、雲が現れた。初めは色々議論はされていたが、見当がつかず。探っていくうちに、無機質な《虫》であり《奴》だと。ロアンは仲間を失い、この砂漠の惑星に何を感じ、求めたのか。この意外性も良い持ち味であって楽しく読ませていただきました。
2024/03/14
ふみふみ
ファースト・コンタクトSFの傑作です。「ソラリス」程ではないにせよ未知の惑星の建造物、風景描写の異質さは半端なく、加えて<雲>と科学兵器(反物質砲)の壮絶な戦闘シーンの迫力、惑星の生命形態と進化の驚くべき謎(この科学アイデアには仰天しました)、これらが盛り込まれたサスペンスフルなストーリー展開は正にド直球の古典的なSF、いわゆるセンス・オブ・ワンダーってやつですね。ただワンダー(驚異)というよりかフィアー(畏怖)の度合いの方が高いです。
2022/09/07
スターライト
レム生誕百周年にポーランド語からの初邦訳となった本書は旧訳でも読んでいたのだが、久々に読んでみてあらためて傑作だと感じた。「ラウダの仮説」で進化した機械とされたレギスⅢのこの金属の微小な虫=奴らが、「正常な進化」を遂げた生命体である人間による攻撃を次々と跳ね返し、究極の兵器と思われた巨大機械キュクロプスまで打ち破るシーンは圧巻とともに畏怖さえ感じた。そして艦長との密室でのやりとりの後に、ロアン一人で4人の消息を求めて雨裂谷に向かいながら一連の行動の意味を考える場面には圧倒された。レム、恐るべし。
2022/02/28
たか
遭難した宇宙船捜索のため訪れた異星での、正体不明の「虫」と呼ばれる小さな機械群との遭遇。『ソラリス』と似た構図のファーストコンタクトものだが、こちらは序盤からハードSF感。いかにも渋い艦長のホーパックと副艦長ロアンの行間あふれるやりとりが良い。ロアンは信念の男。「虫」を「奴」と呼び倒すべき敵のようにとらえる思考に与することなく、人間中心的な征服や英雄的ロマンではない銀河系中心主義を見出す。最終章の「不死身」の冒険はもはや美しい。ところで「中央のない分散型システム」という発想はすごい時代の先取り。
2022/08/11
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