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高原英理恐怖譚集成

高原英理恐怖譚集成

高原英理恐怖譚集成

作家
高原英理
出版社
国書刊行会
発売日
2021-07-26
ISBN
9784336072238
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高原英理恐怖譚集成 / 感想・レビュー

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HANA

怪奇でも怪談でもなく、収められているのはあくまで「恐怖」。著者の抒情的な切り取ったような文体で各話描かれているのだが、抒情的なのは「グレー・グレー」だけで他は確実に読者を殺しにかかっている。著者の今までの作品を念頭に置いて読み始めたら、冒頭の「町の底」が扱っている題材で一撃され、次の「呪い田」の理不尽さでもう一撃喰らう。後半に入っても「よくない道」で人倫を踏み外した道に迷い込まされるし。読み終えた今郷愁と抒情とグロテスクで、頭が混乱している。しかし著者の文体でグロやられると、違和感で一層衝撃受けるなあ。

2021/10/04

カフカ

まさしくホラーというより「恐怖譚」という言葉がよく似合う短篇集。高原さんの淡々とした筆致がやけに怖い。けれど恐怖を感じつつも、どこか美しさを感じてしまう自分がいたり…。一番恐怖を感じたのは「かごめ魍魎」。恐怖はずっと傍にいた、というのが震えます…。ちょうど深夜に読んでいたのですが、その晩は無事に悪夢にうなされました。海から無数の手が伸びていて、引きずり込まれる夢でした。そんなこともあり、忘れられない本となりそう。山本タカトさんの装画や漆黒で重々しい装丁がすごく良くて、本棚に置いておくだけで大満足な一冊。

2023/01/21

あたびー

#日本怪奇幻想読者クラブ 装丁の美しい本なのです。滑らかな紙なのに、ベルベットを思わせる黒です。そこに焦点の定まらない眼をした美しい少女の(おそらく生)首が薔薇の花と(たぶん)鳥の骨に囲まれて浮いている、そういう絵が置かれているのです。また紙が大変に上質で。力を入れて押さえていないと頁が勝手に戻ってしまいそうで。そこに収められた四節十二の物語はいずれも美しい文章で血や体液を滴らせたものたちのことが綴られているのです。読んだ後には頭が眩んでちょっと物が考えられない位です。寝転んで読むと少し筋肉もつきます。

2021/10/14

柊渚

骨の散らばるアスファルトの地面の上、灰茶色の夜空の下、もっと話そう、もっと。ゾンビとなってしまった恋人、それでもなお愛し続ける男を描いた幻想的な物語『グレー・グレー』をはじめとする怪奇恐怖小説集。噎せ返るような血肉の匂いと美しさに酔いしれる。12月読了本なのですが、たぶん昨年読んだ中で一番怖かったかもしれない…笑。そしてかなりグロテスク。けれども美しいのです。加えて素敵な装丁に、山本タカト氏……!もう、最高やん…と寝転びながら胸に抱こうとすると460頁の重みがのしかかってくる、そんな作品でした(大満足)

2021/12/20

凛風(積ん読消化中)

既発表の短編11編と中編1編を収める。『抒情的恐怖群』に収められていた7編とその他で構成される。「怪談」でもなく「奇譚」でもなく「恐怖譚」となっていのは、読めば分かる。本当に恐い。人の心の闇に迫る、とか土俗的因習から生まれた怪奇とか、そんなものはカケラもない。宝くじに当たるような突然の幸運があるように、突然の恐怖がある。因果などどこにもない。それはドロドロでグズグズで湿って粘って匂う。あまりのグロさに心の絶叫が止まらない。綺麗な幻想譚を書く人だと思っていたのは勘違いか?山本タカトのカバーは要注意なのよね。

2021/09/22

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