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精霊流し

精霊流し

精霊流し

作家
さだまさし
出版社
幻冬舎
発売日
2001-09-01
ISBN
9784344001114
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精霊流し / 感想・レビュー

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夢追人009

歌手さだまさしさんの小説家デビュー作で自伝的小説の感動作ですね。本書はご自身の人生のエピソードを綴られた8つの章の連作短編集ですが、自身の名前を櫻井雅彦に変える等されて、ほぼ事実の物語ですが唯一点だけ実母の喜代子さんを小説の中で若い頃に他界させているのですね。まあ大胆な悪戯と言いますか、こういう点からしてもさださんはガチガチの真面目一辺倒の厳しい堅物ではなく独特のユーモア感覚を備えた方なのですね。本書にはさださんの音楽人生の浮き沈みの心模様や結婚後の家庭生活は書かれていませんのでいつかまた読みたいですね。

2022/08/09

やすらぎ🍀

恩師に「長崎人が脈々と守り続ける精霊流しをなぜ歌にしない。本を書け。お前の曲は小説になってる」と言われ、17年後に初めて書き上げた自伝的小説。…苦労は不幸ではない。出会いの数だけ思い出が深まり、逝くものの遺した哀しみを乗り越えて強くなる。有頂天になるたび、小さな祖母の背中は諭してくれた。命は尊いと。…初めたった一輪だった薔薇が、十余年の歳月を経て、紅を撒き散らしている。おかあちゃまの薔薇だよ。…記憶は私の中に生き続けている。旅立ちでは絶対泣かない。そう決めたのに涙が溢れる。空の上から線香花火が見えますか。

2021/11/10

真香@ゆるゆるペース

歌手のさだまさしさんの私小説。ストーリーの何%が実体験かは本人のみ知るところだけど、なかなか浮き沈みのある半生を歩まれてきたことが分かる。生老病死について考えさせられながらも、時にクスッと笑えたり、ジーンとさせられたり、人との結び付きや温かさが心に沁み入る良いお話だった。いつの日か本物の精霊流しを見に、長崎に行ってみたいな。自分はさださん世代ではないので、「関白宣言」の人というイメージしか持っていなかったけど、こんなに素敵な文を書く多才な方だったとは恐れ入りました。他の著書も読んでみたい。

2020/05/24

とろこ

ヴァイオリンに打ち込みながら、従兄や友人と絆を深めた幼い日々。恋を通して、仲が良かった従兄と気まずくなったりもする。少年だった雅彦は大人になり、その間に、大切な人々との別れを経験する。精霊流しは御霊を送る儀式。美しさの中に、哀しみが見えた。実二郎が精霊船を回すなと言った意味を、長崎に生きる若い人々が忘れずに引き継いでいってほしいと思った。「らくだやの馬」に登場する馬のシェフトと、原爆を投下された後の焼け野原で屈託のない笑顔を見せた女性に、生きることの哀しみと奇跡、有難さを感じた。

2018/03/09

ころりんぱ

ゆったりとした川の流れに漂っているような気持ちで読みました。時間軸も登場人物もゆらゆらと、この辺が好みの別れるところかもしれませんが、私はとても好き。故郷長崎の風土や気質、さださんの生い立ちや音楽活動への思いが、たくさんの愛を込めて書かれた本だと思います。さださんには詳しくないので、歌詞をググりながら、本で泣き、歌詞で泣き、流れに逆らわず、大変気持ちの良い読書。さだまさし、ちょっと偉そうで、面白いおっさんだけど、只者ではないって思う。偶然見つけた「償い」という曲の詞には泣かされました←本と関係ないけど。

2013/08/24

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