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星宿海への道

星宿海への道

星宿海への道

作家
宮本輝
出版社
幻冬舎
発売日
2002-12-01
ISBN
9784344002814
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星宿海への道 / 感想・レビュー

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いちろく

紹介していただいた本。中国黄河の源流にあるという無数の湖、見た人をして海かと思わしめた「星宿海」。失踪した兄の足取りを追う弟、兄の子供をお腹に宿した女性をはじめとする登場人物達を巻き込みながら、舞台は中国から日本の各地へ動く。辿り着いた場所への流れは、怒涛の展開と圧倒的なスケールから壮大なサスペンスモノの印象も受けるが、宮本先生が描く人間模様や状況描写が物語に重厚さを生み後半に行く程飲まれました。芥川賞の螢川を読了時にも感じた、ラストのさりげないけれど、気持ちを持っていかれるような文章に惹かれる。

2017/01/27

美雀(みすず)

貧しい生活から救うために瀬戸家へ引き取られた兄、雅人。血の繋がりはないから、弟の紀代志とは本物の家族になれなかったという。いつも生みの母を思い、異国で行方不明になる。なんか切なかったです。誰も悪くはないのに悲しい過去から頭から離れなかったんですね。でも職場の人や友達には優しかった。雅人の恋人の千春と娘せつには幸せになってほしいです。

2013/12/09

鬼山とんぼ

戦後日本の、苦闘と発展がないまぜになった空気感を一番うまく伝えてくれる作家が宮本さんだ。『泥の河』以来の初期作品は大体読んだが、偶然読んでいなかった流転の海に5-6年前出会うまで長らくご無沙汰していた。本作は半分頃までタイトルが勿体ないなー、連載先への配慮でこうしたのかなー、と怪訝に思っていたのだが、さすが宮本さん、伏線を回収してバッチリ着地を決めてくれるじゃないですか。人間の抱える闇とか秘密の部分への暖かな配慮や同情、友情、義侠心といったものがきちんと描かれており、やっぱり読んでよかったと思わせる。

2022/12/04

ふゆ

読書会で紹介していただいた本。筆者独特の弱者への視線がやさしくて泣けます。瀬戸内海の描写が美しくてため息もの。素敵な一冊でした。

2017/02/06

なつのふね

戦争のせいで極貧の生活の後 孤児になった雅人。他の家族の養子となり 成長し 会社員となった雅人が 中央アジアの片田舎で失踪してしまい 残された家族や恋人、友人、同僚らが 雅人の心模様を理解するべく 雅人の足跡をたどる物語。宮本輝氏の作品らしく 多くの好人物が登場し それぞれの不幸を抱えながら 懸命に生きている。自らが「異族」と常々 感じていた雅人。けれど 豊かな人間関係に包まれていたのでは?本文にもあったが いきなり 帰ってくるような気がするし そうであったら良いのにと思う。続編に期待する。

2015/05/24

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