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風は西から

風は西から

風は西から

作家
村山由佳
出版社
幻冬舎
発売日
2018-03-27
ISBN
9784344032682
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「風は西から」のおすすめレビュー

もしも大切な人が過労自死したら…? ブラック企業をテーマにした社会派小説

『風は西から』(村山由佳/幻冬舎)

 もしも大切な人が“過労自死”という道を選んでしまったら、遺された自分にはなにができるのだろうか。人気小説家・村山由佳氏による『風は西から』(幻冬舎)は、現代社会の労働問題をリアルに描いた問題提起本でもある。

 主人公の伊藤千秋は、恋人である藤井健介と幸せな日常を過ごしていた。しかし、2人の幸福は、健介の就職を機に少しずつ壊れ始めていく。健介の就職先は全国展開している居酒屋チェーン店「山背」。朗らかで正義感の強い健介は地元・広島で両親が営んでいる居酒屋を継ぎたいと考え、カリスマ性溢れた創業者・山岡誠一郎の熱い企業思想に惹かれて、ワンマン経営を行っている山背へ就職した。しかし、健介を待っていたのは、あまりにも過酷な労働環境だった。

 山背では最初の数年間のうちに正社員として採用した新卒をさまざまな部署に配属し、業務の大半を経験させる仕組みをとっていた。そのため、健介は本社の営業部や広告部に所属した後、都内でも特にハードな駅前店で店長見習いとして働き始めることになった。

 3カ月働いて休みはたったの2日間。激務の中、社長…

2018/6/30

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風は西から / 感想・レビュー

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starbro

村山由佳は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、ブラック企業過労自殺家族物語でした。女性が主人公なので、電●がモデルかなと思っていたら、ワ●ミでした。どの会社も職業もブラックな要素があると思いますが、一番ブラックな職業の人(内閣総理大臣;24時間365日体制)が、働き方改革関連法案なんていっても説得力がない気がします。その前にバカンス法でも制定した方が良いと思います。

2018/05/03

鉄之助

「この作品はフィクションです」との断り書きがあっても、あるブラック企業とされる会社をイメージしてしまった。店の赤字を出すことを「テンプク」と呼び、その店長は親会社に呼び出され、「ドック入り」という追求会議でやり玉となる。カリスマ創業者が、会社のことを「大きな船」に例えていることからきている。結果、過労による自殺。今や英語やフランス語の辞書にも載っている「Karoshi」。これが、現代の闇なのだろう。そんな会社には、こちらからおさらばして、生き生きとして暮らせる道を行きたい。

2019/03/04

ウッディ

大手居酒屋の新店長として、厳しいノルマのため寝る間もなく働き続ける健介。それでも不運が重なった末の赤字で、本社からの吊し上げにあい、追い詰められ自殺する。残された恋人千秋は、健介の両親とともに、社長の謝罪を求めて大企業と戦うことを決意する。昼食に餃子を食べて葬式に参列した本部長に対する健介の父の広島弁の啖呵は、巨悪対弱者という「空飛ぶタイヤ」を彷彿とさせる構図でした。志を持ち努力する人が報われるそんな当たり前の社会になってほしい。現代の闇を描いた問題作というだけではなく、物語としてもとても面白かったです。

2018/09/07

うっちー

それでも健ちゃんは戻ってきません

2018/05/20

taiko

実家の居酒屋を継ぐために、大手居酒屋チェーンに就職した健介は、店長になり激務から心を壊し自死を選んでしまった。 会社のあり方に疑問を持った恋人千秋と健介の家族は、企業を相手に戦うことを誓う。…過労自殺。モデルとなった事件も、大手広告代理店での事件もまだ耳に新しい。ニュースで見ながら、大変だなと他人事で済ませていた所がありましたが、今回のこの出会いで、一歩近づき考える機会を持ちました。悲しみや痛みを図るすべが賠償金などの金額になってしまうため、報道されるとつい冷めた気持ちになっていたことを反省します。→続く

2018/09/28

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