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一度だけ

一度だけ

一度だけ

作家
益田ミリ
出版社
幻冬舎
発売日
2018-08-23
ISBN
9784344033436
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「一度だけ」のおすすめレビュー

益田ミリ、9年ぶり2作目の長編小説『一度だけ』「一年に一度でいい。熱く、熱い、夜が欲しい」

『一度だけ』(益田ミリ/幻冬舎)

 ミュージシャン・矢野顕子が生み出した曲の一つに「ひとつだけ」がある。故忌野清志郎とのコラボでも知られ、愛らしい歌詞が心に響く名曲だ。

 これから紹介する本は「ひとつだけ」ではなく『一度だけ』(幻冬舎)。都会暮らしをする独身アラフォー女子を描いた「すーちゃん」シリーズなど、女性の細かな心情を描き続ける漫画家・益田ミリが綴った9年ぶり、2作目となる長編小説だ。

 物語は30代の姉妹で2人暮らしを続ける派遣社員・ひな子と介護ヘルパー・弥生、彼女らの母親・淑江とその妹・清子、2組の姉妹を中心に描かれる。夫が遺した財産で自由きままに暮らす清子はひな子を誘い、往復ビジネスクラスの1人180万円かかるブラジル旅行に出かけた。日本に残された弥生はひな子が不在の間、「毎日新しいことをするルール」を自分に課す。

 物語は登場人物の都合通りには進まない。厳密に言えば、進むときもあれば進まないこともある。でも、これが日常というものだ。そんな日常から脱却しようともがく登場人物は、“一度だけ”という思いで、さまざまな行動を起こしていく。

 30代…

2018/10/13

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一度だけ / 感想・レビュー

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mayu

久し振りの長編ということで楽しみに読んでみた。1度だけ…熱い思いをしたい。現実は厳しくて夢は儚い。姉妹が一緒に住み妹のひな子はお金持ちの叔母の清子さんとブラジル旅行へ、一方姉の弥生は毎日、介護の仕事に勤しむのだった。我慢や忍耐し過ごしてる日々から、二人の行く末が少しずつでも好転する事を願ってしまう。

2019/02/06

野のこ

ミリさんのリオの旅から物語ができたのかなぁ。日々の何気ない、いろんな感情がリアルでドキッとしました。ふとした瞬間にミリさんの存在を感じられる小説。エッセイも漫画も好きだけど、小説も好き(結果 全部好き 笑)「ミックスジュースみたいにミキサーにかけたら、どんな言葉が出来上がるんだろう」「ネモフィラの花のような青空」っていう比喩が気に入りました。365日のうち1度、リオのダンサーのように華やかな注目を浴びなっくったて人生は悪くないもんだ。ラストはふわっとした終わり方でした。続くのかな?

2018/10/23

sofia

益田ミリさんの小説は初めてでした。『すーちゃん』だとちょっとした「チクッ」も、小説だとズキズキと表現されますね。よく考えれば、こちらの方が「現実」的なのだろうが、すーちゃんの方が身につまされるのが少ない分、好きかな。

2019/01/11

さとか

人生がイマイチうまく回らない2人姉妹。妹は叔母に誘われてブラジル旅行へ。姉はバツイチで介護の仕事をコツコツこなす。妹の、目に入るもの全てが結婚への出会いに思えてくる感覚、分かるなぁ。その結果、周りが見えずに空回りしてしまうのも。お姉ちゃんは、自分の基準値以上の夢を見て、今の自分をなんとか変えたいと足搔こうとする。それもわかるよ、分かる。女性って、ほとんどがこういう感情あるんじゃないかな?この姉妹に、叔母さまのようなしなやかさが芽生えますように。面白いです、オススメ👍

2021/08/13

きさらぎ

「一度だけ」普段の自分なら絶対しないようなことを勇気を出してしてみる。うまくいくかもしれないし失敗するかもしれない。でもそれが次につながることもある。登場人物がみな誰にもすがらず小さな何かに挑戦している。「1週間毎日何か新しいことをしてみる」とか楽しそう。年齢相応の美しさをもち、いつもみんなの中心にいる清子が、仕事も旅も恋も夫との日々も何もかもしたいことをし尽くした人生を有終完美と振り返る。「一度だけ」の人生。いつも自分自身を好きでいられるように生きていけたら幸せだ。「いつか」はこない。

2019/02/07

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