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まだ人を殺していません

まだ人を殺していません

まだ人を殺していません

作家
小林由香
出版社
幻冬舎
発売日
2021-05-26
ISBN
9784344037953
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まだ人を殺していません / 感想・レビュー

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いつでも母さん

小林さん独特の不穏な空気の匂いが纏わり付くよな、意味深なタイトルにまず気持ちが落ち着かない。人の心の奥に隠された残虐性や偽善、けれど確かに持ち合わせてる幾ばくかの理性と慈しむ気持ちがそれを凌駕する。終始自分の微かな良心がグラグラ揺れたが辛うじて支え読み切った。成績が優秀だから、親の言うことを聞くから我が子を好きなんじゃない。理屈じゃ無い―それが愛。自分の子宮で育む前に『親になる資格、人を育てる権利』考えたことも無く今日まで生きて来た私は幸せなのだろう。これは小林さんが血を吐き紡いだ愛と祈りの物語だと思う。

2021/06/15

nobby

人殺しの父親を持つことで“悪魔の子”と呼ばれ、また出生とともに迎えた喪失から“人を不幸にする”など責め立てられ…その痛々しい仕打ち故か、あるいは器質なのか、人に動物に対する残虐行為は目を覆うばかり…それでも彼は『まだ人を殺していません』それは確かだ…直接も間接も問わない誹謗中傷に憤りつつ、一方で「この世界に同じ気持ちを抱えた仲間がいることを忘れないでください。」と寄り添う存在があることにホッとする…生まれてくる子に罪や選択肢はないのだから、少なくとも「あなたに出会えてよかった」と思える時代であって欲しい…

2021/07/03

しんたろー

尊敬していた姉は早世し、その夫が殺人犯として逮捕され、甥っ子の良世を預かる事になった翔子…「家族とは?」という大きなテーマに、被害者家族&加害者家族、いじめ問題、ネット社会の功罪など社会性をいつもながら盛り込んだ著者らしい内容は、今回も重いのにグイグイ読まされる。それは翔子の心情を丁寧に描いているのと、良世がミステリアスで哀しい存在だからだろう。「自分なら?」と考えさせられ、胸に迫るシーンも多く、台詞選びの妙と構成の巧さも光っていた。ミステリ要素は決して強くはないが、丁度良い塩梅になっていて楽しめた。

2021/07/16

ちょろこ

痛感の一冊。残虐な事件、薄気味悪さに最初、心はのらなかった。でも良作だった。掴めそうで掴めない悪魔の子と噂される良世の不快感しかない行動と言動。対する翔子の苦しみは血と涙でしかない。そして二人を取り巻く環境には怒り、哀しみしかない。どれだけのものを小さな身体と心に抱えもがいていたのか、全てが氷解した瞬間、言葉にならない感情が涙となって満ち溢れた。言葉、眼差し一つが愛に姿を変え、子どもが外の世界での苦しみに日々立ち向かう鎧になっていることを痛感した。力強さと愛溢れるラストに涙と心を添えずにはいられない。

2021/06/25

とん大西

重い重い読み味…。親としての矜持、人としての倫理観。檻の中のようなこの苦しさから逃れたい-そんな思いからの一気読みとなりました。世間を震撼させた猟奇殺人。その犯人勝矢の息子であり亡き姉の忘れ形見でもある良世。最愛の娘を事故で亡くし脱け殻となった翔子。愛情の縁を失った良世、愛情を注ぐ人を失った翔子。信じては失望する、期待しては拒まれる。疑念を生み出す彼の言動。殺人犯の子供は悪魔の子か…。心の裡は誰も知らない、自分ですらわからない。どう向き合い、どう生きる。明日へのいざない、それがおとずれるのはいつか。

2021/06/13

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