銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫 た 43-1)
銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫 た 43-1) / 感想・レビュー
海猫
かなり長い年月を描いた作品だったのが予想外。天災火災艱難辛苦を乗り越え、人生を歩む登場人物たちに引っ張られる。寒天作りの過程がリアルで興味津々。タイトルの銀二貫の意味は序盤で回収されるが、物語を追うほどに違う輝きを放ちだすことに感心する。凝縮されたストーリーラインがとてもドラマティック。劇的に展開するのでページをめくる手が止まらず。一気に読み終えた。滑らかに読めすぎて場面々々を味わうとか感銘を残すという点では、ちょっと弱い気がする。でもこの作品の場合、ストーリーテリングの巧さが勝って実に気持ち良い。
2018/07/19
とも
旅行先で時間潰しのため購入。普段は手に取らないと思うと出会ってよかった。ええ買い物でした。 登場人物が皆魅力的で善次郎も途中から愛すべき存在に。ずるいわ~。 最終章はほぼ泣きっぱなし。最後の和助と善次郎の会話で涙腺がピークに。 とても好きな作品になりました。
2014/05/12
yoshida
高田郁さんは初読みの作家さんです。抗いようのない苦難に負けずに立ち上がり、歩き出す人々の美しさ、凛とした姿が描かれています。読後感爽やかで一気読みでした。大坂天満の寒天問屋「井川屋」の主である和助は、仇討ちで天涯孤独となった鶴之輔を銀二貫で救い、松吉と名付け丁稚とする。厳しくも、井川屋の人々や料理屋「真帆家」の嘉平と真帆と幸せな毎日を送る松吉。しかし度重なる災害が大坂の街を襲う。逆境から立ち上がる市井の人々。和平は天満宮再建に向け蓄えた銀二貫を、その都度、苦境にある人々に渡す。それが最後に花開く。名作。
2015/07/17
鉄之助
江戸時代、大坂や江戸はなんと大火の被害に見舞われたことか! おまけに2年以上続く飢饉にも、たびたび襲われる。そのたびに立ち上がる大坂商人たちに、スポットが当てられた。主人公・松吉と真帆のじれったい恋の行方にも、いい意味でイライラさせられる。「寒天はでしゃばらない」。それぞれの素材の「旨みを引き出して、しっかりと閉じ込める」という、主人公の生き方にも通じる寒天の特性が、全編をうまくまとめていた。
2023/02/02
seacalf
伸び伸びとした文章が、主人公松吉のまっすぐな成長と重なってすいすいと一気読み。武士の息子から丁稚の身になって悲壮感はあれど、爽やか。史実とはいえ、とにかく火事が多すぎる小説なのだが、タイトルでもある銀二貫の重味、この扱い方の見事なこと。でもなあ、ちょっと平淡で池波大先生には遠く及ばないよなあなどと斜に構えて読み進めていると・・・もう大変、ぐしゅぐしゅになるくらい涙で活字が霞んで読めないくらい泣かされてしまった。前言撤回、大変面白かったです。解説を読んで、作者の人柄の良さも知って、さらに脱帽なのです。
2017/03/20
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- 光村図書出版
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- ISBN
- 9784813804383