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じっと手を見る (幻冬舎文庫)

じっと手を見る (幻冬舎文庫)

じっと手を見る (幻冬舎文庫)

作家
窪美澄
出版社
幻冬舎
発売日
2020-04-08
ISBN
9784344429611
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「じっと手を見る (幻冬舎文庫)」のおすすめレビュー

地方で暮らす男女の閉塞感がリアル…不器用だけれどもせつない恋愛小説が文庫化!

本日発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 《以下のレビューは単行本刊行時(2018年4月)の紹介です》

『じっと手を見る』(窪美澄/幻冬舎)

『ふがいない僕は空を見た』『晴天の迷いクジラ』などの作品で、現代人の抱える孤独を描いてきた窪美澄。彼女の小説に登場するキャラクターたちは、一般的な「幸福」の概念から外れて、痛みを抱えながら生きている。だからこそ、読者は幸福の形がひとつではないと気づかされ、キャラクターに感情移入せずにはいられないのだ。

『じっと手を見る』(幻冬舎)は、文芸誌で連載されていた連作短編に加筆修正をほどこし書籍化した一冊である。ここでは、地方に暮らす男女の閉塞感がリアルに綴られていく。章ごとに視点人物が切り替わり、それぞれの生い立ちが語られていく中、共通しているのは「ここではないどこか」への強い憧れだ。10年近い時間を経て、登場人物の心境にどんな変化が訪れるのか、あ…

2020/4/8

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じっと手を見る (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さてさて

『宮澤さんが来るようになって、季節が過ぎるのが加速していくような気がした』。『富士山』を当たり前の景色として見る閉塞感のある町に『介護士』としての日々を送る主人公の日奈。この作品ではそんな日奈の前に現れた宮澤の存在が日奈の日常を変化させていく様が描かれていました。『介護士』の”お仕事小説”の側面も見せるこの作品。『富士山』がマイナス感情の象徴としても描かれる不思議感を感じるこの作品。直木賞の候補作品らしく、しっとりとした恋愛物語の中に、人が生きていくことの悩み苦しみを鮮やかに描き出した作品だと思いました。

2023/05/17

日奈と海斗の恋愛モノなんだろうけれど、最初から最後までもやもやしたまま終わった感じでした。あらすじを読んで想像していた話ではなく、また好きなジャンルの小説ではなかったのですが、各章での主人公が違っていたので一方通行な目線で読まなくて良かったからかスラスラ読めました。日奈目線だけで進んだら海斗も、畑中も皆最低に見えたと思うし、海斗が終盤で良い男だなんて思えなかったと思います。個人的には海斗には幸せになってほしい。

2020/09/02

エドワード

富士山があり海のない県で、介護士として働く若い男女。「介護士になれば一生食べられる」とはいうものの、現場は苦労の連続だ。たまの休日も、狭い田舎での愉しみは限られている。専門学校の学校案内を制作する宮澤は東京を象徴する、彼らと対極にある存在だ。日奈は宮澤と関係し、介護士仲間の海斗ともつかず離れず。海斗の後輩の畑中真弓も訳ありで…。それぞれの視点から描かれる、穏やかだけど、つまらない日常。「じっと手を見る」は石川啄木の歌だね。高齢化の進む21世紀の地方のリアルさ、そこで生きる人々への暖かい眼差しに救われる。

2020/04/26

dr2006

将来を見いだせず、相手への思いを昇華出来ない男女の物語が胸に刺さった。恋愛に正解はないし、感情は変化していく。本作は変化の速度が違う男女の恋愛の喰い違いを濃やかに描いていると思った。海斗と日奈は同じ専門学校を卒業し、特別養護老人ホームで働いている。二人は恋愛の輪郭をなぞるような関係だったが、今は同じ職場だけに気まずい日々だ。そんな中、日奈は卒業校の案内パンフ制作でホームに取材に来た年上の宮沢に惹かれていく。相手を思い遣る心が、自分の弱さを相手のせいにした自己満足に過ぎないかもしれないという事を知るべきだ。

2021/06/21

ナキウサギ

 10代後半、家族で暮らすことになんの面白みも楽しさも感じる事が出来なかったあの頃を思い出した。登場人物それぞれが抱える事情、、日奈ちゃんみたいにフワフワしている 女の子は、まだこの先も不安要素がありそう。自分の気持ちと果たして行動が同じように伴うかというと、これまたわからないのが人間。ただ 最後、命つきるまで選択の繰り返し。介護のお仕事ってそうゆう場面が多々あってキツイ世界だな。 窪美澄さん、、もう一冊読んでみるか。。

2021/04/08

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