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口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

作家
小川洋子
出版社
幻冬舎
発売日
2020-08-06
ISBN
9784344430037
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口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

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ふう

目を凝らしても見えない、耳を澄ましても聞こえない。でも、気づかないほどの小さなすきまに静かに在る世界。小川さんはそんなひっそりとした不思議な世界を見つけるのが本当に上手です。その静かな世界の心地よさにずっと浸っていたいと思うのですが、今回はちょっと見えない方がよかったかも、という世界もありました。「先回りローバ」が好きです。老婆じゃなくてローバ。いいですね。

2020/09/05

エドワード

公衆浴場に暮らす白雪姫こと、お客さんの赤ちゃんの守りをする小母さん。小母さんという表記や天花粉という言葉のやさしさ、壁画の森という表現がメルヘンに富んでいる。帝国劇場で亡き伯母の面影を想起する切なさ。廊下に鎮座する黒電話への愛と畏れ。こういう気持ちってあったね。電話のリンリンの音が聞こえるようだ。小川洋子さんの紡ぎだす世界は昔物語になりつつある。若い人には感覚的にわからないかもしれないけど、同世代にはたまらない。かつてあった何気ない暮らしの描写が的確で、五感から幼い頃の記憶や感情を呼び起こされる短編集だ。

2020/08/25

ひろ

表題作を含む短編8話を収録。タイトルから童話のような話が並ぶかと思っていたが、どの話も現代が舞台だった。心情も風景も緻密に描き出す筆致が構築する世界。短編それぞれ全く異なる設定なのに、受け取る印象は共通している。主人公の内省的な視点を通して紡がれるエピソードは、仄暗くどこまでも静か。その空気に惹き込まれる。収録作の中では「かわいそうなこと」が一番好き。話を締めくくる文章は、この短編集の根底に黒々と流れているものだと感じた。

2020/12/29

那由多

『仮名の作家』が怖かった。『乳歯』サリンジャーにどことなく似た雰囲気。それ以外はいつものヒンヤリとしてるのに、ほのかな温かみのある美しい悲しさが足下にヒタヒタと打ち寄せるようだった。

2020/08/26

田氏

生きものは、おどろおどろしくて不穏でどろどろしたものを皮で包んでつくられている。それを美しいというとき、表面の皮を指しているのか、その奥に透けて見えるものをも指しているのかと考えるときがある。この短編集のなかでは、さまざまなものが皮とそれに包まれる不穏とでかたちづくられている。それは肉体におけるもの――母親の張った乳房に青く浮かぶ血管だとか、抜けた乳歯を明かりにかざすと見える影だとか――だけでなくて、たとえば口笛とか、聖堂のレリーフとか、ツルボランの刺繍とか。小説というもの自体が皮なのかもしれないけれど。

2020/11/20

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