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恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

作家
平山夢明
出版社
幻冬舎
発売日
2018-07-30
ISBN
9784344985087
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ジャンル

「恐怖の構造 (幻冬舎新書)」のおすすめレビュー

ホラーを好むのは人生に絶望している人? 恐怖を感じる構造をズバリ分析

『恐怖の構造』(平山夢明/幻冬舎)

 私は怖い話が大好きなので、夏になり怪談特集や心霊ドラマなどが増えてくると、欠かさずチェックしている。だが、基本的には「好き」なのだけれど、時々気分が乗らない時がある。「なんか、怖いから観たくない」と思う。これはおかしな話で、そもそも怪談は「怖い」のだ。いつもはそれを求めているくせに、突然「怖い」を避けたくなる。…恐怖ってそもそもなんだろう? 『恐怖の構造』(平山夢明/幻冬舎)は、ホラー作家の名手である著者が、「恐怖」のメカニズムを徹底考察した「『怖い』の理由が分かる」1冊だ。

■なぜピエロは恐ろしく見えるのか…その理由は?

 最初に言っておきたいのは、本書は「怖い理由を探る」というテーマなので、本書自体に「恐怖」はない。なので、「自分ってどうしてこんなに怖がりなんだろう?」とビクビクと思っている人も、安心して(笑)読めるのではないだろうか。

 もちろん、ホラー大好きな読者には強力にオススメできる。小難しい学説や理論ではなく、小説家の著者が「『恐怖書きのプロ』として持論を展開」しているので、読み物としても魅力があり、…

2018/8/14

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恐怖の構造 (幻冬舎新書) / 感想・レビュー

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absinthe

ためになった。「不安は恐怖よりストレス」は重要なキーワードになりそう。恐怖を感じるシチュエーションについて作家としての自身の感覚をエッセイ風に綴った本。紹介のあった『ブレイブ』も読んでみたい。学者でないためか読んでて楽しいがまとまりが薄いが、作家として怖がらせ続けてきた本人のキャラクタが紙面ににじみ出ており好感が持てる。 主人公以上の緊張を脇役が強いられると、主人公の緊張が薄まるので気をつけようとか、割と重要なテクがちらほらと見られる。

2019/04/11

青蓮

本書はホラーの名作を例に挙げながら人間が恐怖や不安を抱き、それに引き込まれていく心理メカニズムを考察する。私は「怖いもの」が平気で好きですがその理由が本書で明らかにされていてとても勉強になりました。「ホラーが好きな人間には、かつて恐怖に助けられた人が多いよう」で確かになと納得。「人生がどれほど絶望的か」でホラー嫌いかそうでないかが別れるそう。ホラーには痛みを忘れるには更なる痛みを、みたいな、ある意味ショック療法的な側面があると言えそうです。またホラー小説の楽しみ方、書き方までレクチャーされていて興味深い。

2019/04/04

かみぶくろ

恐怖の構造を科学的に分析した本かと思いきや、ほぼ平山夢明さんの作家論と私見。だからこその面白さというか、この異色の作家がどんなことを考えて作品を書いているのかがよく分かり、大変興味深かった。「君ほど殴りたいと思った人間はいない」と50年も言われ続けてきた、強烈な個性の源泉が堪能できる。特に精神科医との対談が面白く、恐怖を極端化すると笑いになるという著者の指摘通り、なんだかヤバイとしか言いようのないユーモアがあった。

2019/08/12

アキ

小説「DINER」の著者。ホラーが好きすぎて、仕事にしてしまう程の著者が、「恐怖」について考えを巡らす。H・Pラヴクラフト「人間の感情で最も古く、最も強いのは恐怖である。」原始的な感情の恐怖を扱うホラー好きとそうでない人との違いは、人生がどれ程絶望的かなのではないか。ホラー小説のゴール設定は主人公が最終的に生き残るか死ぬかで、サスペンスは過程が重要だと。そしてストーリーには緊張と緩和が必要、文章は説明でなく描写など、作家の視点からの蘊蓄が楽しい。おススメの映画「テナント」と「ゲット・アウト」を見てみたい。

2021/12/06

harass

恐怖とはなにかを考察するエッセイ。少し散漫かと思ったが、著者がホラー映画とみなす「ゴッド・ファーザー」「タクシードライバー」などの解説が非常に面白い。ホラー小説、怪談話などの著者が書くとき読むときに注意しているコツなども述べている。ホラー作家キングの偉大さなど、いろいろ唸る。最終章ではおなじみの精神科医春日武彦との対談。軽い読み物としておすすめ。

2019/05/18

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