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さんかく

さんかく

さんかく

作家
千早茜
出版社
祥伝社
発売日
2019-10-31
ISBN
9784396635794
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「さんかく」のおすすめレビュー

「食の趣味」が合うアラフォー独身女性と同居を開始した男性の結末は…!? 京都を舞台に繰り広げられる三角関係未満の男女の物語

『さんかく』(千早茜/祥伝社)

 食の趣味が合うって大切だ。好きな食べ物をひとりきりで堪能するのも幸せだが、誰かと美味しさを共有できた時、幸せは何倍にも膨らむ気がする。私事で恐縮だが、結婚当初、夫と食の好みがことごとく合わないことに愕然とした記憶がある。特に好物の甘いものを食べる時に、美味しさを共有できない事実に寂しさを抱いた。結婚して4年経った今ではもう、そんなやるせなさを上手く乗り切る術は、すっかり身についてしまったのだが。

 千早茜さんの『さんかく』(祥伝社)は、ただ「食の趣味が合う」という理由で、古い京町屋で暮らす40手前の夕香と同居することになった正和、そしてその事実を知らされていない正和の恋人・華の3人の物語だ。

 本書は、三角関係未満の揺れ動く大人の男女関係が、たくさんの食べ物と共に、それぞれの目線で語られる。物語は、会社を辞めて東京にいる理由もなくなり、美大の頃の友人がいる京都に戻ってきたアラフォーで独身の女性・デザイナーとしてフリーランスで働く夕香の語りで幕を開ける。夕香は、「恋はもういらない」と言いながら、欲しいものに手を伸ばすより…

2019/11/30

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さんかく / 感想・レビュー

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starbro

千早 茜は、新作中心に読んでいる作家です。お料理小説連作短編集の体裁ですが、一筋縄ではいきません。今時の三角関係ダブルの恋愛模様、不思議な小説ですが、楽しめました。タイトルの料理・食べ物の内、ベトナム料理のバインセオ以外は、全部食べたことがありました。料理上手の女性と暮らしたことがないですが、やっぱり幸せなんでしょうね。

2019/12/16

美紀ちゃん

高村夕香さんと伊東正和くん中野華さんの三角関係。 伊東くんは悩む。 俺にとっての家はどっち? 心も身体も華に。 けど生活は高村さんの町家に。 穏やかで居心地の好い暮らし。感情は生活に宿るのか?心に宿るのか?混乱する。 華は他の女の子とは違う普通じゃない。まぁ、悩むよね。 出てくる料理の描写が美味しそう! 皮から作った水餃子!しかも具はパクチーと羊。絶対に美味しいよね。もー土鍋で炊いた白米で作った塩おにぎりから最後までずっと飯テロ。 とうもろこしご飯とか、最高に美味しそう! 手巻き寿司最高!

2020/11/11

tenori

意地悪な本。装丁はパフェなどあしらって可愛らしい。四季を織り交ぜた京都の描写もよい。なにより食に対する表現。文字だけで素材感や調理の音、匂い、味までが手に取れるように伝わってくるし、食べることの喜びを感じられる。翻って登場する三人の男女のこずるさよ。不器用と言えば聞こえが良いけれど、自分の愚かさを誰かにぶつけて正当化しようとしている。その微妙な関係性が「さんかく」なわけで、平仮名としたあたりは読めば納得。人間関係のアンバランスと、食に対する緻密な表現がなんとも独特な世界観を作りだしている。意地悪である。

2020/08/27

❁かな❁

食べるの大好きでお料理も得意な千早さんらしい作品。京都を舞台に緩やかな男女の物語。京町家で暮らすアラフォー高村さんと同居することになった伊東くん。そして研究一筋の恋人の華。古い町家での丁寧な暮らしが素敵で鼠が出るのは無理だけど少し憧れてしまう。出てくるお料理が全てとても美味しそう。食の趣味が合い「おいしいね」を分け合えるのは幸せ。映画『月とキャベツ』だろうと思われる会話もでてきたり資生堂パーラー、イノダコーヒーなど実在するお店が出てくるのも嬉しい。淡い三角関係。違うラストを望んでしまったけど好みの作品。

2020/06/05

machi☺︎︎゛

華ちゃんという恋人がいながらも、年上の元バイト仲間の高村さんと同居を始める伊東くん。人によって解釈の仕方は違うと思うけど、私は伊東くんが不器用に見せかけて実は自分にとって都合のいいように華ちゃんと高村さんを利用しているみたいで嫌なやつに映った。でも高村さんは結局芯の通った大人な女性だった。ひとときの感情に流されずちゃんと冷静に考えられる人って憧れる。伊東くんによって逆立った感情も出てくる美味しそうな料理の味を想像してたら落ち着いた。

2020/10/26

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