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羊は安らかに草を食み

羊は安らかに草を食み

羊は安らかに草を食み

作家
宇佐美まこと
出版社
祥伝社
発売日
2021-01-07
ISBN
9784396636036
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羊は安らかに草を食み / 感想・レビュー

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starbro

宇佐美 まことは、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから、ほんわかした三老女終活の旅物語かと思いきや、戦争悲劇ミステリの秀作・感動作でした。少し気が早いですが、今年のBEST20候補、本日第164回直木賞が発表されましたが、次回の第165回直木賞受賞作で良いかも知れません。

2021/01/20

ちょろこ

圧倒された一冊。のめり込まざるを得ない、友が友の為に長い過去を紐解く物語。次第に浮き彫りになる、秘められた過去の重圧に押しつぶされそうな感覚はまさに老女達と懸命に旅した気分。生と死、常にギリギリ危うい綱渡りのような瞬間を11歳の子供が手を携え生き抜く恐怖、飢えよりも孤独への恐怖はまさに生き地獄だったと思う。そして同時に生きるとは、生き抜くとはこういうこと…を見せられ、ただ涙を流し圧倒されるだけの自分がいた。あの時の繋いだ手が結ぶ、心と旅の結び。歴史の重み、人の強さ、想いの仕舞い方を噛み締め…感涙。

2021/02/06

いつでも母さん

善と悪…真相とか…文字や言葉にできない人の持つ心根の部分で、全てをかけて受け入れてしまうーそれが私の感じる宇佐美作品ー帯の『愚者の毒』を超える魂の戦慄!に納得の本作。益恵と佳代、二人の少女の満洲引揚げの描写が胸を打ち続け「よくぞ生きて帰られた」頭を垂れるしかない。二人の決意は命よりも重く、今、友情で結ばれたアイと富士子が認知症になった益恵の人生を辿りつつ、自らの人生の仕舞い方を思う旅にドンドン引き込まれた。作中の俳句も情景が浮かび想いも切ない。参ったなぁ宇佐美さん、凄い!としか言えない。お薦めです。

2021/01/25

nobby

生きる…それは今、自分にとって当たり前の日常だ。そこには過剰な怠惰も極端な苦難もなく、幸い適度な気楽がある。一方で、同じ国に暮らしながら、一世紀に満たず早く生まれた境遇だけで、それが生き延びるに変貌することに打ちひしがれる…自らの手で赤子に手をかける、時代を問わず起こる悲劇に何と事由の異なることか…日本人として知らねばならない史実がまた此処にある…多くを語らない認知症女性の生きてきた痕跡を辿る様と、彼女による俳句から思い起こされる回想が徐々に繋がる構成が素晴らしい。終章での作者ならではの伏線回収もお見事。

2021/02/13

みっちゃん

間違いなく傑作。まあさん、アイちゃん、富士ちゃん。年長のまあさんが認知症ではあるけれど、老境にあってもお互いを思いやり、穏やかに暮らす仲良し3人。「これで最後の旅になるね」楽しげな旅の始まり、からの!旅が進む程に明らかになる、まあさんの壮絶で過酷な過去。余りにも悲惨な描写にしばし言葉を失う。戦争は穏やかな暮らしを、心を、人間性を破壊し尽くす。怒りと悲しみで頁を捲る手が震える。苦しみと悲しみを胸に仕舞いこんでひたむきに生きてきた尊い人生に涙。終盤の更なる驚きの真相にも最後まで頁を捲る手がとまらなかった。

2021/03/28

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