フーガはユーガ
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「フーガはユーガ」のおすすめレビュー
2019年本屋大賞ノミネート!伊坂幸太郎『フーガはユーガ』―― 誕生日に瞬間移動する双子の不思議せつない物語
『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎/実業之日本社)
以心伝心。一心同体。そんな強い絆に結ばれた仲間がこの世界にひとりでもいれば、私たちはきっと残酷な運命も乗り越えていける。伊坂幸太郎氏の『フーガはユーガ』(実業之日本社)は、強い絆で結ばれた双子の、ちょっぴり不思議でなんだか切ないミステリー小説。この作品は、伊坂幸太郎氏にとって1年ぶりの新刊であり、伊坂氏の初期作品を思わせるような、「原点回帰」ともいえる「悲しいけど、優しい」物語だ。
主人公は常盤優我。彼は、仙台市内のファミレスで、ひとりの男に向けて語り始める。父親から暴力を受けながら育った幼少時代のこと。同じ顔をした双子の弟・常盤風我のこと。今まで乗り越えてきた困難のこと…。
伊坂幸太郎氏といえば、“地上から数センチ浮いた”日常で起こる不思議な出来事を物語に描いてきたが、今回の作品では、主人公の双子・優我と風我に特殊能力が備わっている。2人には、1年で誕生日の日だけ、2時間おきにお互いのいる場所に入れ替わってしまう瞬間移動の能力があるのだ。2人の人間の意識が入れ替わるという物語は世の中に数多くある…
2018/12/8
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「2019年本屋大賞」決定!! 大賞は瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』 全ノミネート作の順位を発表!
全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2019」の受賞作が決定した。
16回目となる今回のノミネート作品10作の中から大賞に選ばれたのは、瀬尾まいこ氏の『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)!
■2019年本屋大賞受賞作 『そしてバトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)
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翻訳小説部門では『カササギ殺人事件(上・下)』(アンソニー・ホロヴィッツ:著、山田 蘭:訳/東京創元社)が選ばれた。
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■気になるその他のノミネート作品は――
■2位 『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)
■3位 『ベルリンは晴れているか』(深緑野分/筑摩書房)
■4位 『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)
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■5位 『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)
■6位 『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)
■7位 『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)
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■8位 『ひとつむぎの手』(知念実希人/新潮社)
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■9位 『火のないところに煙は』(芦沢央/新潮…
2019/4/9
全文を読む気になる大賞はどの作品に!?「2019年 本屋大賞」ノミネート10作品発表!
2019年1月22日(火)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2019年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。
今年の「2019年本屋大賞」は全国の493書店、書店員623人の投票によりノミネート作品を選出。ノミネートされたのは以下の10作品だ。
■2019年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)
『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)▶【レビュー全文はこちら】
『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】
『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)
『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】
『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】
『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)
『ひとつむぎの手』(知念実希人/新潮社)▶【レビュー全文はこちら】
『火のないところに煙は』(芦沢央/新潮社)▶【作者インタビュー記事はこちら】
『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎/実業之日本社)▶【レビュー全文はこちら】
『ベルリンは晴れているか』(深緑野分/筑摩書房)
気になる大賞発表は4月9日(火)。ノミネート作を読み…
2019/1/22
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フーガはユーガ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルは脚韻を踏み、リズムもいたって軽快。文中には頭韻も登場するし、随所にダジャレ(いえいえ、掛詞)も散見される。さすれば、本書は和歌的な技法が投入されているのか?もし、仮にそうだとしても幽玄歌からはほど遠く、さしずめ軽妙な俳諧歌といった趣き。伊坂幸太郎に特有の荒唐無稽さも影を潜め気味。それは言葉を変えれば、やや中途半端に終わってしまったということでもある。読み物として面白くはあるが、深みに欠けるのは避けられない。構成等の欠点にも目を瞑って、今回は伊坂のスキップ文体を楽しむことにしよう。
2021/12/09
ウッディ
父親から虐待され、母親からも見捨てられた双子の優我と風我。逆境にめげず、助け合いながら生きてきた彼らには、誕生日だけに起こる不思議な現象があった。苛酷な家庭環境でまっとうに生きる二人の境遇が切ないが、二人だからこそ耐えられたのだと思う。入れ替わりについては、どんなことができるのかと実験し、検証する過程は面白かったが、ストーリーの中であまり有効に活用されてなかったような気がする。後半の伏線の回収は、今回、伊坂さんらしい切れ味がもう一つという印象で、期待が大きかっただけにイマイチという感じでした。
2019/04/11
うっちー
犯人が酷すぎる
2018/11/25
hit4papa
著者ならではのトリッキーな作品です。ハテナ?となるタイトルに惹かれ、単行本を買うほどには伊坂作品の熱心な読者ではありませんが、思わず手に取ってしまいました。本作品は、誕生日に二時間毎にお互いの体が入れ替わる双子、風我と優我の物語です。ここだけをとると、誰もが、子供の頃に夢想するようなシチュエーションです。これは、面白い話しを作れるのだろうか、とやや不安な出だし。そこは流石、伊坂幸太郎。きっちりと読ませてくれます。途中まで、著者らしい展開ではないなと思いましたが、ラストは、伊坂幸太郎節が鳴り響きます。
2020/04/14
蒼
今まで伊坂幸太郎さんの描く「悪」はその度合いが酷いながらも、どこか現実味を感じさせない不思議な文体だったのだが、今回は違った。読み進めてもどこに救いがあるのだろうと暗澹とした思いしかなく、こんな鬼親こんな非道の事件あるよとしか思えないのだが、先が気になってページをめくる手が止まらず、翌日(つまりは今日)早朝出勤にもかかわらず、睡眠時間を削って一気読み。終ってみればすっかり伊坂ワールドに取り込まれていた。「鴨とアヒルのコインロッカー」を彷彿とさせて読後感は重いが爽やかな達成感があった。
2018/11/18
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