敗者烈伝 (実業之日本社文庫)
敗者烈伝 (実業之日本社文庫) / 感想・レビュー
岡本
古代から明治まで日本史上25人の敗者の敗因に焦点を当てた一冊。歴史作家である著者の語り口によって歴史書よりも読みやすく、最新研究まで押さえた豊富な知識によって歴史作家の書くトンデモ歴史本とは一線を画す内容となっている。過信、驕り、油断など英雄たちの敗因を学び、自らを省みて自省しなければ。因みに読む前と後で印象が最も変わったのは徳川慶喜。
2019/11/25
ぷう蔵
それぞれの時代にそれぞれの勝者がおり、勝者がおれば当然敗者がいる。勝者はときに傑物で、その才覚は他人が真似できないことも多い。敗者には敗者になるべくしてなった理由があるとは言うが、はたして敗者は本当に敗者なのか?その時代の流れ、運不運で敗者になってしまった、勝者と紙一重という人も多くいるように思う。そこはどうであれ、この人達がいたから私たちは生きている。時代は100年、200年で大きく動く、明治維新から第二次世界大戦まで70年、戦後75年、これから時代は動く。いや、動くべき時が来ているように思う…。
2020/03/06
maito/まいと
どんな切り口から書いても人物像がブレず、説得力のあるクオリティの作品を世に送り出している伊東さん。その理由はこの本にあり。たくさんの作品を書いてきたから語れるのではなく、語れるから書けるってことを改めて実感。本文では、歴史上有名で“勝者”と思われがちなアノ人やコノ人を“敗者”と断ずる視点に気付かされること多し。もちろん読み物としても楽しく読めるので、改めて世の中のことを自分事に捉え直すことができる。歴史から得られる教訓は永遠に活かせる要素。歴史好きなら本棚保存確定、折に触れて何度も読み直したい1冊だ。
2019/11/14
フク
天草四郎の項の著者の洞察は周りを見回して妙に納得してしまった。目立つ人に目が行っているだけと思いたいが。
2019/11/04
ta_chanko
長所と短所は表裏一体。上手くいっているときは長所となる自信・積極性・慎重さなども、失敗するときは過信・浅はかな行動・優柔不断に転じてしまう。ただ権力者にありがちなのは、調子に乗って増長し、周りの意見を聞かなくなること。逆に小者は慎重になりすぎて主体的に行動できず、周りに振り回される。学識を買われて幕府と新政府の両方に仕えた大鳥圭介と榎本武揚は成功者。徳川慶喜は所詮、斉昭の息子。江藤慎平は才に溺れる。西郷隆盛は溢れる人望を自分でもコントロールできなかった。大久保利通は厳格すぎて恨みを買う…。
2020/10/12
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