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嘔吐 新訳

嘔吐 新訳

嘔吐 新訳

作家
J‐P・サルトル
鈴木道彦
出版社
人文書院
発売日
2010-07-20
ISBN
9784409130315
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嘔吐 新訳 / 感想・レビュー

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らぱん

在るものはただ在るのか。在るためには在ると認識するものが在らねばならないとしたら、その認識するものを在るとするためには…無限ループの始まり。ロカンタンの吐き気は実在しているこの世界の圧迫が原因であり、ゲシュタルト崩壊が不安と恐怖を感じさせる。音楽が吐き気を抑えるのは不可逆性という性質によるもので、それは時間と同質であることが重要で、そこに不自由からの開放、すなわち真の自由を示唆する。彼の意識の変容の旅は不快感から始まり、可能性の予感を秘め終わる。在るものはただ在る。物語≒騙りという手法の強度を感じた。

2019/07/13

Y2K☮

この重厚な本が事実上の処女作で未だ実存主義の夜明け前とは。現実であれ妄想であれ今この瞬間の己の認識が全て。命は偶然の産物。故に我々の存在に意味など無い。孤独だから自由。それを脅かす外圧、特に人生の本質を考えずに生温いヒューマニズムを押し付ける偽善者に吐き気を覚える。人生は無意味。この痛みを克服したか否かが空虚な絵空事と伝わるリアリティの分岐点。意味など要らない。現に私は生きている。不条理な日常の中で小さな冒険を積み重ねている。それでいい。常識を弁えてるからこそ退屈な一般論に反吐が出る。私は私、今を生きる。

2017/02/18

おか

偶然にこの世に生を受け 日々 まぁある程度懸命に だが どちらかというとのほほんと生きている私にとっては ちょっとマイナス思考になってしまう作品です^_^ 「存在と無」を日記形式の小説だが 「存在と無」よりは読みやすい。ロカンタンという主人公よりも 彼の元恋人のアニーの心持ちの方が良く解る。多分 彼女が元女優で 歳を経て芝居の中の様に完璧な筋書きの実生活が送れない という事に挫折感を感じているからだろう。昔は逃避行の一端でサルトルを読んだが もう読むことはないだろう(≧∇≦)

2017/04/02

ω

実存とはなんであるか、それはなんでもない、なにやらそれは、外部からやってきて、事物の上に、その性質をいっさい変えることなく附加される空虚な形式と言えば言える。頭がぐらんぐらんして数ページ読むごとに気づいたら寝てた(ФωФ)笑 忘れないうちにもう一度読みたい。

2021/04/18

踊る猫

恐縮ながら「自分語り」をすると、ぼくはすでに「いま・ここ」に、この肉体を伴って(つまり「吐き気」を催させる臓器・精神を伴って)「ある」。「ある」ことが所与の条件となってこうして何かを知覚する意識も成立する。そんな「あたりまえ」「自明の理」にロカンタンは見事に、実に滑稽に足をすくわれつまづいてしまう。眼前の光景に「いま」が脈々と横たわっていることそれ自体を戦慄とともに受け容れ、有名なマロニエの光景の中にそうした「ある」ことの生々しくかつ神秘的な真実を見出す。小説としてはやや平板だけど、その深度はあなどれない

2024/01/09

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