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大坊珈琲店

大坊珈琲店

大坊珈琲店

作家
大坊勝次
出版社
誠文堂新光社
発売日
2014-07-18
ISBN
9784416714348
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大坊珈琲店 / 感想・レビュー

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めしいらず

一日は、時間は、とめどなく過ぎ去ってしまうから、誰もがせわしなくその流れに乗っかろうと日々齷齪している。そんな中にあっても、ふと流れ切れない思いが、心をチクチク苛む時がある。人には静かに自分自身と向き合える時間と場所が必要だ。本書に寄稿された方々のエッセイを読むと、閉店した大坊珈琲店がまさにそうだった。38年もの間ずっと変わらずにあり続けた、静かで薄暗い空間と、いつでも誰にでも慎ましい店主と、そして人を思索へと誘う深くて濃い味わいの珈琲と。大切なものの喪失、その悲哀は、人生の良薬。苦い珈琲の味に似ている。

2016/03/23

emi

珈琲好きの方はご注意ください。読むと間違いなく大坊珈琲店に行きたくなりますが、その味を舌で確かめることは叶いません。南青山にただならぬ珈琲屋があった、そしてもう口にできないなんてと惜しむただならぬ常連客たちの寄稿。閉店した珈琲店の私家本を活版印刷で製本した一冊、ここまで憧れの店として記憶するとは。ふらりと仕事帰りにこの店に立ち寄れた人たちが羨ましくてなりません。ただの堅苦しい珈琲店ではなく…ただの美味しい珈琲店でもなく…長年愛用した品のように、一人一人が揺らぎない信頼と愛情を注いだ店なんですね。きっと。

2017/01/09

ぶんこ

立ち退きで惜しまれつつ閉店した珈琲店の主が作った本。南青山は生活圏ではなかったので知りませんでしたが、知っていたら一度は行っていたと思えるお店でした。店主の拘りがすごくて、コーヒー豆は当然としてポット、ネルの濾し袋も手作り。窓の簾まで拘って、お店全体の一つひとつのあらゆる物に拘って、妥協せずに開いたお店。たくさんの写真を何度も眺めてしまいました。多くの人が憧れる「やってみたい喫茶店」のお手本のようでため息。道端に咲く花から、故郷の山野草、顧客が持ってきてくださる庭の花。季節の花がさりげなくある風景。素敵。

2023/02/09

吾亦紅

以前からなんてかっこいい本なんだと思いながら買うのを先延ばしにしているうちに絶版になってしまい、今は買わなかったことを本当に後悔している。今回は図書館で借りて読了。南青山にあった大坊珈琲店はビルの取り壊しで惜しまれながら閉店。前半はこの店の「マニュアル」、真ん中に店の写真集、後半は閉店に伴い常連客たちからの寄稿文の3部構成。行ったことはないが、その飴色の内装や掛けられた静謐な絵、活けられた野の花、小さく流れるジャズ、そして珈琲を点てる白いシャツの大坊さん、お冷やを入れるグラスまで、痺れるほどかっこいい。

2023/01/23

ムフィー

ただ、ただ一度行ってみたかったなぁと思う。珈琲を淹れる店主のその姿、たたずまいを生で拝見してみたかった。珈琲一杯に注ぐ情熱、店内をあしらう草花やBGMへの気配り、本棚に揃える本、取り入れる光の加減や照明の按排、そこへ行ったかのように想像するだけでも奥深い。

2016/12/03

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