KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

能楽ものがたり 稚児桜

能楽ものがたり 稚児桜

能楽ものがたり 稚児桜

作家
澤田瞳子
出版社
淡交社
発売日
2019-12-20
ISBN
9784473043597
amazonで購入する Kindle版を購入する

「能楽ものがたり 稚児桜」のおすすめレビュー

【全作品紹介】太宰治の孫・石原燃のデビュー作も候補に! 第163回芥川賞・直木賞ノミネート

 日本文学振興会が主催する「第163回芥川賞・直木賞」のノミネート作品が、2020年6月16日(火)に発表された。この記事ではそれぞれの候補作について、読者からの反響を交えながらご紹介。「どんな作品があるのか気になる!」という人は、ぜひ参考にしてみてほしい。《紹介順はそれぞれ著者名五十音順》

芥川賞候補(1) 石原燃『赤い砂を蹴る』(『文學界』6月号)

『赤い砂を蹴る』(石原燃/文藝春秋)  今回の候補作のうち、最も話題を呼んでいる作品のひとつ。作者は純文学作家・津島佑子の娘であり、太宰治の孫である石原燃。デビュー作となる『赤い砂を蹴る』では、ブラジルを舞台として母娘の“たましいの邂逅”を描いている。

 読者の共感を誘うストーリーテリングが評判を呼んでいるようで、ネット上では「読み始めたら止まらなかった。一人の娘である自分と重ねて読んだ。だからこそ、ブラジルの大地が人生を肯定してくれるようで救われた」「素晴らしく読みごたえのある小説。子育てに纏わる諸課題に、女性が否応なしに直面させられるロールモデル。最後に描かれる、母と娘による魂の邂逅が愛おしい」とい…

2020/6/18

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

「能楽ものがたり 稚児桜」の関連記事

第163回芥川賞は高山羽根子『首里の馬』と遠野遥『破局』に、直木賞は馳星周『少年と犬』に決定!

 第163回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月15日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は高山羽根子の『首里の馬』と遠野遥の『破局』に、「直木三十五賞」は馳星周の『少年と犬』に決定した。

【第163回芥川賞受賞作品】

『首里の馬』(高山羽根子/新潮社)

【あらすじ】 この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。 世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

【プロフィール】 高山羽根子(たかやま はねこ)●1975年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作に選出される。同年、同作を収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。16年「太陽の側の島」で第2回…

2020/7/15

全文を読む

関連記事をもっと見る

能楽ものがたり 稚児桜 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

澤田 瞳子は、新作中心に読んでいる作家です。能の曲目のストーリー(私は、薪能を一回観ただけの超素人のため、ほとんど解りません)からインスパイアされた8編の時代小説連作短編集でした。オススメは、『やま巡り─山姥』&表題作『稚児桜─花月』&『秋の扇─班女』の3本です♪

2020/01/16

修一郎

梵唄でも動植綵絵でも澤田さんの本を読むときにはテーマとなる芸能を映像で鑑賞しながら読むんです。今回も元ネタの能楽を鑑賞しながらです。相変わらずどの能楽も同じに聞こえてしまうけども。お話の一つ一つは能のストーリーそのものではないんですが,それでも謡の中に豊かな物語が含まれていることが実感できて堪能しました。でもね,出版社は淡交社だし,これ,能楽に親しみをもってもらうために創作した企画本ですよね。なぜこれをわざわざ直木賞候補にしたのかが不思議。澤田さん,他にもがっつり人と歴史を描きこんだ作品が多々あるのに。。

2020/06/28

遥かなる想い

能の名曲から 生まれた八篇の物語である。 ベースとなる能を知らないのが 残念だが、 底に流れる 人間の情念のようなものが 全編に漂う。遊女を扱った作品が多い印象だが、幸少ない人生が ひどく哀しい…そんな印象の短編集だった。

2021/05/31

のぶ

澤田さんの新刊は、能の曲目のストーリーを下敷きにした8編の時代小説集。残念なことに自分は能楽についての知識が全くない。少しでも知っていればより楽しめるのだろうが、それでもどれもよく纏まったものだと思った。30ページ程度のそれぞれの話の中に、人間の怖さ、人情。人の強さや弱さが盛り込まれていて、人生の縮図が詰まっていた気がした。澤田さんの文章は静謐で何とも言えない余韻が残って、とても心地良いものだった。繰り返すが、能楽を知らない事がもどかしい。知った上で読めたらまた違った印象になったかもしれなかった。

2020/01/23

パトラッシュ

三島由紀夫の『近代能楽集』を読んで、能を戯曲に仕立てずとも小説化したら面白いのでは思った。その考えが実現された作品集だが、三島と同様それぞれの原曲の趣きとは相当異なるドラマが展開する。弱い者が虐げられて当然の古代から中世を舞台に描かれるのは、弱者を踏み台にのし上がる者や踏み台にされた側の復讐劇だ。鋭い切っ先で欲望と憎悪にまみれた人の心を彫琢しており、特に表題作「稚児桜」は花月の誇り高さと優しさが見事に表現されている。直木賞に一歩及ばなかったのは残念だが、短編小説としての高い完成度は今年の文学的収穫だろう。

2020/07/16

感想・レビューをもっと見る