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ことばの食卓 (ちくま文庫)

ことばの食卓 (ちくま文庫)

ことばの食卓 (ちくま文庫)

作家
武田百合子
野中ユリ
出版社
筑摩書房
発売日
1991-08-01
ISBN
9784480025463
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ことばの食卓 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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どんぐり

「枇杷」を歯ぐきで噛みつく武田泰淳を冒頭の一篇に置いた食べ物の思い出を綴ったエッセイ14篇。武田百合子さんの作品は読むたびに味わいがある。

2018/06/22

ユメ

冒頭の「枇杷」でいきなりどきり。「枇杷を食べていたのだけれど、あの人の指と手も食べてしまったのかな」続く幼少期の回想も、失踪した牛乳屋と振り向いた赤マント、花の下の老女、どこか幻想的な趣がある。野中ユリさんの挿画がその印象を後押しする。夢と現実の境目が曖昧なような、でも子供時代ってそんなものだったかもしれない、と思う。作家とは、子供であった自分を失わずに抱えていられる人なのかもしれない。「たるたるに、とろとろにふくらんで小鉢の蜜汁の中にぽっかり浮かんでいるあんず」武田さんの「ことばの食卓」は実に豊かだ。

2016/05/22

kiyoka

出てくる食べものが美味しそうな感じがしない。むしろ食欲を無くしてしまいそうなものまである。グルメ情報誌におしゃれな盛り付け、どんなにごまかしていても本来食べるという行為はグロテスクなものなんだよ、と諭されているような気になった。生々しさとちょっぴりの残酷さ。そういうのをなんでもない風景の中にさらりと書いてあって、この人の文章を読むといつも"原始、女は太陽であった"という言葉を連想する。『枇杷』はやっぱり素晴らしい。とても官能的。『上野の桜』の「ズボン色をしたズボン」なんてのもなかなか書けない表現だと思う。

2017/09/13

♡ぷらだ♡

富士日記の続きをとおもいながら、「食」にまつわるエッセイが好きなのでこちらを先に読んだ。ご主人の泰淳さんが枇杷を食べる描写から始まる。「口中で枇杷をもごもごまわし」「タンと舌を鳴らし」言語感覚は童女そのもの。ただ、「牛乳をこっそり持ってきてくれた山本さんが25歳にならないうちに疎開先で死んだ」とか「7,8人ひとかたまりの検診いくお女郎さんに会った」とか「イペリットでない毒ガス弾にあたりたい」など、不穏さも漂っている。自伝的なところがあり百合子さんを知ることができる1冊。

2019/12/04

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

何度目かの再読。『枇杷』を読みたくて読んでいたら、そのまま全部読んでしまった。何度読んでもやはりいいエッセイだと思う。汁気の多い果物を食べる時の果汁が口元や手に垂れてくるところなど、文章だけでありありと感じられる。『遊覧日記』でもそうだったけれど、百合子さんは酔っ払いの描写がすさまじいのだ!

2016/07/27

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