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手塚治虫はどこにいる (ちくま文庫 な 13-3)

手塚治虫はどこにいる (ちくま文庫 な 13-3)

手塚治虫はどこにいる (ちくま文庫 な 13-3)

作家
夏目房之介
出版社
筑摩書房
発売日
1995-12-01
ISBN
9784480031303
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手塚治虫はどこにいる (ちくま文庫 な 13-3) / 感想・レビュー

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しゅん

「漫画の神様」という平板なイメージを、時代ごとの描線の変化によって立体化させていく。それが、戦争の終わりの解放感、メディアの多様化・巨大化、劇画の誕生とマンガの青年化など、社会と手塚治虫がどのような影響関係にあったかの考察と交わって、ダイナミックで面白い論となっている。かつてはコマの外側にあったマンガの文字情報が、手塚によってコマの中の「線」の圧縮されることで、マンガ表現は「自意識」を獲得し、表現の幅が一気に広がったという見立ては説得力がある。夏目さんの、「飄々と悩む」感じがなにより素晴らしい。

2021/02/05

Takao

1995年12月4日発行(初版)。単行本は1992年6月、筑摩書房より刊行。ちくま文庫から刊行されているこの著者の『夏目房之介の漫画学』や『男女のしかた』を以前読んだが、とても面白く、本書を求めた。本書は、漫画家であり、エッセイストである著者による「手塚治虫論」。本作によって漫画批評家としての評価を確立したそうだが、素人の私にとってはとても難解な手塚論だった。ただ、戦後漫画界を切り拓いた手塚治虫が「過去の人」にならなかったのは、漫画の神様・手塚自身が変化を遂げていったからだということがよくわかった。

2017/02/16

kokada_jnet

20年ぶりに再読。この本の中で終始、力説されている。50年代の手塚治虫の丸っこい絵柄の線の良さ。近年の海外マンガ邦訳ブームのせいもあってか。ようやく、実感をもって、理解できるようになった。「60年代以降は線が死んでいる」とまで書かれているが。自分はそちらの絵で刷り込まれているものだから。

タケミチ

上の世代の人には初期の線こそが手塚だと言う人がいて、中期後期の手塚マンガから入った僕としてはあまり理解できなかったんだけど、これを読むとある程度は納得できるようになった。といっても、やっぱりいまだに『W3』あたりの絵が一番好きなんだけど。

2015/07/19

Tomochum

面白かった。コマ割りと描線を下敷きに語られる漫画史。コマとコマの間にある時間。モブの描き込み。ストーリーを茶化す存在の変遷。手塚治虫が神になる過程。講談社全集の線を「綺麗で洗練された線」と思っている私には、目からウロコが落ちるような考察が続く。リアルタイムで手塚漫画に触れてきた人と、そういえば私は手塚漫画を語り合ったことがないのだった。

2015/01/02

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