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カントの読み方 (ちくま新書 740)

カントの読み方 (ちくま新書 740)

カントの読み方 (ちくま新書 740)

作家
中島義道
出版社
筑摩書房
発売日
2008-09-10
ISBN
9784480064271
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カントの読み方 (ちくま新書 740) / 感想・レビュー

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夜間飛行

「主観」(Subject)の一般的意味は「意識の主体」だが、「主語」「実体」の意もあり、カントはこの三つをまぜこぜにしているらしい。こういう言葉の多義性そのものは面白いが、読む時には厄介な壁となる。でも著者は抽象語一つ一つを解きほぐし、神経を消耗するまで読み抜いてこそ哲学なんだという。「初心者のため」と帯にあったが、私は何が何だか解らぬまま、哲学のすごさにびりびり感電する思いだった。しかしきれいにまとまった解説より、この方がずっとありがたい。カントの哲学は思い込みの上に成り立っているというのも気に入った。

2013/06/22

Gotoran

現在、『純粋理性批判』(上、中、下)にトライ中。(上)を読むもあまりにも難解に感じたため、急遽、本書を。カント研究の第一人者(著者)が、当該書の読み方を逐語読解的に実に丁寧に解説してくれている。まさに当を得たりとはこのことか!当然ながら、カントの難しさの訳(ラテン語での思考を独語で著述、翻訳者の問題等)などの思想周辺の背景についても。本書を横に置きながら、“1つ1つレンガを積み上げるように、それぞれの行にその次の行を積み重ねて確認しつつ忍耐力をもって”、早速、当該書(中)、(下)を読んで行きたい。

2013/01/14

Happy Like a Honeybee

私が存在するとは、現象するように存在するのではなく、それ自体として存在するのでもなく、ただ私が存在すること。 カントの思考まで辿り着くまでには10年を必要とする。 日本だけではなく、今でも世界各国でカントの研究が継続されていると。 用語に慣れるまで、解説書などを乱読せねば。 図解もあり、抽象的な言葉も印象に残りやすい。 プロレゴメナによる経験的判断と経験判断の区別。 険しい山でも地道に開拓する精神が必要だ。

2018/06/12

ソラヲ

カント『純粋理性批判』の主に自我論のところを抜粋して噛み砕いてくれる本。紆余曲折を経て「超越論的『主観』=超越論的『客観』」という等式が成り立ち、外的経験もけっきょく内的経験じゃないかと二元論を克服するところは鮮やか。ただ、因果律など、いくつかの前提がカントの思い込みに基づいているところに注意。本書でも名前が出てくる鈴木直『輸入学問の功罪―この翻訳わかりますか?』(ちくま新書)で誤訳の多さを指摘された岩波文庫の篠田訳に即しているが、常識と原書と照らし合わせればそれなりに読めるんじゃないかと思わせてくれた。

2017/01/07

人工知能

カントのテキストからはわかりにくいものが少しはわかりはじめた気がする。「こうした命題において、あらゆる述語を取り去り「私」という主語だけを残して「私とは何であろうか?」と問うことは、ちょうど「これは犬である」「これはソクラテスである」などの述語を取り払って「これ」だけを残し、「これとは何であろうか?」と問うのと同じようにばかげている。・・たとえ「思惟する私」であるかぎりの「私」を取り出したとしても、それは認識の対象としては内容空虚に留まるということです。」

2016/08/23

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