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東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)

東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)

東京の下層社会 (ちくま学芸文庫)

作家
紀田順一郎
出版社
筑摩書房
発売日
2000-03-01
ISBN
9784480085450
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あらすじ

スラムの惨状、もらい子殺し、娼妓に対する搾取、女工の凄惨な労働と虐待……。駆け足の近代化と富国強兵を国是とする日本の近代は、社会経済的な弱者―極貧階層を生み出した。張りぼての繁栄の陰で、「落伍者」「怠け者」として切り捨てられた都市の下層民の実態を探り、日本人の弱者への認識の未熟さと社会観の歪みを焙り出す。

東京の下層社会 (ちくま学芸文庫) / 感想・レビュー

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くらひで

明治以降の東京の最貧民層の生活の実態について取り上げた文献を整理したもの。社会保障という観念が未熟なまま、富国強兵と資本主義的競争原理だけが先行した結果、階層の二極分化と都市による地方の搾取が横行。スラム、娼妓、女工などの極貧層の生活の生々しいまでの悲惨さがリアルに書かれていて、少々滅入る。しかし、その見たくない現実を無視してきたことの近現代社会の歪みこそが今なお現存する問題であり、貧困に対する社会的認識の未熟さと前時代的な人間観の歪みに警鐘を鳴らしている。

2015/11/30

刳森伸一

明治から昭和初期にかけてのの東京のスラム街の劣悪な環境や、遊女、女工などといった弱い立場の人々の酷い生活を様々な資料から読み解く。その背後には、搾取のシステムと、貧困に苦しむ人々に対する無理解と想像力のなさがある。そして、その社会風土が現代日本にも脈々と受け継がれていることに憤りと哀しみを覚えずにはいられない。

2018/12/04

Rion

明治から昭和初期にかけての女工、遊郭、東京スラム街を、横山源之助の「日本の下層社会」など様々な文献を利用して姿を追っていく。また、当時のルポからみるに、日本の福祉概念が極めて乏しいことも浮き彫りになる。日本のジャーナリストが貧困、スラム街問題を意識しており、政府批判も体当たりの実証をもって行われている。安い女工の労働力と過酷な搾取によって繊維業が持ち上がったことを考えれば、自分が手にしている工業製品もどこかの誰かが搾取されているのではないかと考える。貧困には欠乏しかなく、文化はないという言葉が身に染みる。

2017/11/30

ひろ

明治・大正期の東京における最貧困層の生活や困難を取り上げたルポタージュ。最初は工場や軍から払い下げられる残飯を買って食べたり、ゴミ箱をねぐらにする浮浪者の姿などに「怖いものみたさ」のような気持ちで読み進めるが、次第に本書がその姿を通していかに近代日本の福祉政策が貧しいものであり、また日本人に染み着いた貧困者への差別意識が険しいものであるかを述べようとしているのだと気付く。これらの貧困あるいは経済的格差は多くが政府の(恣意的でもある)無策によるものでもある。近代化の過程で国際的競争力を持つ産業がごく限られて

2017/04/11

うえ

四谷、芝、浅草に三大スラム街「明治半ばごろの東京の地図を見ると、中央の広大な面積が皇居と諸官庁によって占められ、その周辺に市街地がへばりつくように、急速な膨張をとげつつあることがわかる。たまに広いスペースがあると思えば、陸軍省や海軍省の用地ときまっている…三大スラム街といわれた地区を確認してみると…まず北東に浅草万年町、ついで西方に四谷鮫ヶ橋、南方には芝新網町といったところが目につく。この場合、浅草は市中随一の繁華街である浅草寺界隈や上野駅に隣接していたので、車夫などの生活に便利だったことは想像し得る」

2016/08/01

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