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現代という時代の気質 (ちくま学芸文庫 ホ 19-1)

現代という時代の気質 (ちくま学芸文庫 ホ 19-1)

現代という時代の気質 (ちくま学芸文庫 ホ 19-1)

作家
エリック・ホッファー
Eric Hoffer
柄谷行人
出版社
筑摩書房
発売日
2015-06-10
ISBN
9784480096791
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現代という時代の気質 (ちくま学芸文庫 ホ 19-1) / 感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

社会的能力は天然資源をいかに効果的に利用するかによってと、人間資源をどう利用するかによっても測られる(048頁)。権力はつねに人間の本性、人間という変数を行動の方程式から信念の教育によって実行する(056頁)。商人のふつう、権力の外観よりもその実質に関心を抱く(090頁)。人間は未完成の動物であるのみならず、未完成の人間でもある(108頁)。よい生活とは姑息な手段、妥協、小悪、完全への努力の金剛から成立(136頁)。 柄谷氏によると、著者は日雇い労働をし、金と暇ができれば図書館で読書。未婚(158頁)。

2015/07/26

さきん

大衆の持つ特徴を長所短所合わせて観察する他、アメリカとヨーロッパ、日本、ロシア、中国とも比較し、住んでいるアメリカでの観察は鋭い。今アメリカ化した日本にも当てはまることが多いように思う。技術の発展が人々の退化を招く。知識人が狂信的な独裁体制を築いてしまうなどパラドックスな展開が多い。

2016/10/03

紫羊

半世紀前に書かれたものですが、アメリカの特異性、共産主義と知識人の歪な関係性など、そこかしこに今に通じる明察が煌めいていました。

2022/03/29

おおた

黒人に辛辣すぎるところは苦笑するしかないが、きちんとした学校を出ないでここまで思想を推し進められる力はしなやかでかっこいい。オートメーション化で人々が失業することではなく自尊心を失うのではないかと喝破するところは、今のAI論にまんま当てはまりそう。現代はいつだって少年のように幼稚で、大衆は手の付けようのない混沌だという。ここで語られる知識人とは現代のリベラルになぞらえることができて、対立の構図は変わってない。

2019/12/01

呼戯人

エリック・ホッファーのアフォリズムは非常に鋭い。時代の微妙な変化を読み取りそれを読みやすい文章に定着している。すでに1960年代に現れていたポスト産業社会への変化を鋭く嗅ぎ取り、人間の持つ変化への抵抗をこれまでにない深さで捉えている。ユング心理学を読まずして、それを超えるような認識を示している。「いたるところに自尊心へのあくなき欲望がある。自尊心は魂を購うことのできる唯一の通貨なのだ」。(P132)これは21世紀の日本で現れている時代の兆候だと言われてもおかしくないのだ。

2015/07/01

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