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ちくま文学の森 2

ちくま文学の森 2

ちくま文学の森 2

作家
安野光雅
出版社
筑摩書房
発売日
1988-05-01
ISBN
9784480101020
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ちくま文学の森 2 / 感想・レビュー

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KAZOO

私はこのアンソロジーのシリーズは好きで昔から読んでいます。佐藤春夫の詩から始まり宮本常一の「土佐源治」(「忘れられた日本人」に収められています)まで、さまざまな楽しみを与えてくれます。このサブタイトルにあるとおり、読み終わった後でなにかほっとするような気がします。

2017/03/31

めしいらず

内外の文豪らの美談集。印象深いシュニッツラー「盲目のジェロニモとその兄」。通りすがりの悪戯が兄弟間に落とす波紋。蒸し返されるかつての過ち。普段は表に出ないけれどくすぶり続けていた二人の間の葛藤。償うこと許すことは険しい。ある事件を契機に二人が疑心暗鬼から解放され救われる終盤の筆致が圧倒的。中勘助「島守」も素晴らしい。かつてあったなんて事ない日々。自然に根差し地に足ついた人生の慎ましさ清しさ。善意の交換もまたごく自然だ。梨木作品を彷彿させる。有島武郎「碁石を呑んだ八っちゃん」での瑞々しい感性の煌めきも見事。

2020/07/29

メタボン

☆☆☆★ これが心洗われる話なの?という作品が多いが、解説で「美談は理におちる、つまり感動を説明的にひきだそうとする」とあり納得した。芥川の「蜜柑」ヘンリーの「最後の一葉」はやはり名作。幼い時の気持ちを思い起こさせる有島の「碁石を吞だ八っちゃん」。「芝浜」は味わい深い。武士らしい心遣いが面白い太宰の「貧の意地」。他愛無い一言から兄弟の関係性に溝が出来るシュニッツラーの「盲目のジェロニモとその兄」は秀逸の出来。梶井の「闇の絵巻」は感性が凄い。谷崎の「母を恋うる記」は美しい。宮本常一の「土佐源氏」は衝撃的。

2016/10/10

るんるん

あたたかい物語がいっぱい。「闇の絵巻・梶井基次郎」を読むと冴えわたる静寂に視覚聴力が研ぎ澄ませれていくような感覚を体感させられる。夜道をすすむと人家のほのかな灯りがうつしだす幻想的な木々のフォルムが美しい。「二十六夜・宮沢賢治」を読むと桔梗色の空にうかぶやせた月を北国で見たくなる。ここ南国とはちがう空があるかもしれない。「母恋うる記・谷崎潤一郎」一輪の明月を母と眺める描写にも心を洗われる。収録された物語たちは人の業ともいうべき愛にふれている。喜びは必ず悲しみの影をもっている。陰影の印象がこころに刻まれる。

2015/12/08

リタ

様々な厳選された短編が詰まった宝箱みたいな本です。佐藤春夫の詩から始まり、宮本常一の聞書きに終わる。その間に芥川や太宰や谷崎や、モーパッサンやモームや、、あぁもぅ贅沢なラインナップ!キミたち、こんな隠し玉持ってたのかよ!と嬉しくなってしまいました。ほっこりとする温かな話ばかりじゃないんです。でも、なんだろ、何か怖いおもいをした時にひとつでも思い出せば、そっと心が和らぐ話たち。哀しくても切なくても寂しくても、きちんと心を満たしてくれる文学。私はきっとこの本から「もののあわれ」を受け取れたのだと思います。

2015/01/21

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