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ちくま日本文学全集 26 岡本かの子

ちくま日本文学全集 26 岡本かの子

ちくま日本文学全集 26 岡本かの子

作家
岡本かの子
出版社
筑摩書房
発売日
1992-02-01
ISBN
9784480102263
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ちくま日本文学全集 26 岡本かの子 / 感想・レビュー

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冬見

「金魚繚乱」のみ以前読了、ほか初読。収録作品の中でのマイベストは「金魚繚乱」。他の作品だと、「河明かり」が特に好き。彩度を巧みに調整した色彩表現は非常に豊かで美しい。鈍い色調で進み、ふとした瞬間に、鮮やかな色が咲き乱れる。浅縹色の水面に粉々に砕いた硝子の破片をばら撒いたよう。一人称で描写する眼は女性のもの。女による女の描写。ここまで鮮やかに美しい女を描き出す女の視線は珍しい。そのあたり、面白く読んだ。

2016/07/21

ソングライン

幸福な結末が待つわけではありませんが、変えることの出来ない運命に投げやりになることなく立ち向かう男女を、華麗な文章で綴る短編集です。父の没落のため、ある男の妾にならざるを得ない女性のやるせない気持ちが描かれる「渾沌未分」、身分違いの愛する女性を理想とする金魚作りに執心する男に訪れる偶然にホッとする「金魚撩乱」、ドジョウ鍋屋の先代おかみである母の苦労と淡い想いを知った娘の心情を描く「家霊」が好きです。パリに留学した息子への書簡「太郎への手紙」で、あの画家の母なのだと気が付きました。

2020/07/10

三平

初めて岡本かの子読んだけど秀作ぞろい。現実から一時離れしがらみを振り切って突き抜ける爽快な『渾沌身分』、仙台四郎を題材にとったほっこり話『みちのく』など読み物として面白いもの多数。その中でも大好きなのが『鮨』。寿司屋の壮年の常連客が看板娘に語る想い出話。魚肉野菜が苦手で卵と海苔ぐらいしかまともに食べられず吐き出してしまいやせ細った子に母親は思案にくれ、不器用ながら寿司を握り子供に与えるのだが…。食べる喜び、大切な人に料理を作る時の想いを思い起こさせてくれる傑作短編。小説以外にも短歌、息子への手紙も収録。

2015/01/06

駒子

「鯉魚」「鮨」「家霊」「老妓抄」以外は初読み。特に良かったのは「金魚繚乱」と「太郎への手紙」。息子への想いが飾らず率直に書かれていてじんとする。手紙の内容って、その人の考え方や性格がものすごく出るんだなあ。こんなにも正直に、まっすぐに息子に会いたいと伝えられる母親っているんだろうか。とても愛情深い人だったんだろうな、と想像してうらやましくなった。

2017/06/12

nao

金魚繚乱/最後に出来た美しい金魚は何を象徴するのか。復一の世界の再生か、破滅か。どちらにせよ美しい文章による美しい物語である

2014/10/06

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