きみの体は何者か ――なぜ思い通りにならないのか? (ちくまQブックス)
ジャンル
きみの体は何者か ――なぜ思い通りにならないのか? (ちくまQブックス) / 感想・レビュー
アキ
「どもる体」の伊藤亜紗が、思い通りにならない体についてやさしく語りかけるように論じている。彼女が自身の吃音を研究する内に、普段当たり前のように考えられている「言葉をしゃべる」という行為が、長い時間をかけて行えるようになった複雑な体の使い方と気づくようになった。三島由紀夫「金閣寺」で主人公が吃音を、鍵が錆び付いてしまっている扉のようと表現している。誰にでも思い通りにならない体であるが、だからこそ思いがけないこともあるはずだ。体の声に耳を傾けよう。体をメタファーで表現してみよう。言葉で自分の体を作り出すんだ。
2021/12/30
けんとまん1007
伊藤亜紗さんの本は、発見がふんだんにあって興味が尽きない。伊藤さん自身、吃音であること、その吃音にもいろいろあることを題材のスタートとしての身体論。思い通りに身体を使おうというほうが、間違っているのではと思っている。場合によっては、身体の動きに委ねることもいいのではないか。そこから、新たな気づきや発見があるはずだ。
2022/01/11
とよぽん
タイトルから予想していた内容と違って、著者伊藤亜紗さん自身の「吃音」を例に挙げた身体論だった。一口に「吃音」といっても、連続や難発、言い換えなどの「症状」があって、身体のエラーとかストライキと書かれている。とても分かりやすく、腑に落ちることがたくさんあった。体の声に耳をすますと、思いがけない発見が待っている! ちくまQブックス、面白い。
2021/12/30
Twakiz
中学生向けのようだが内容は深いことを述べている。吃音で悩む著者、現在は研究者の語り。連発(ててててがみ)を避けるために難発(何も言えない、言わない)になったり言い換え(言いやすい言葉に換える)したり、になるが言い換えると微妙に、時には大きく元の意図と変わってしまいその人の心の言葉ではなくなる。「安心してどもれる」関係や「大切な人の前ではどもりたい」ということになるそうだ。自分も緊張すると多少連発難発の気がある。思い通りにならない身体とどう向き合うか。これは特に一般的な「障害」がない人でも同じなのでは。
2023/02/09
zag2
ああ、良い本に出会ったなあ…というのが感想です。14歳からの…とありますが、オジさんが読んでも、おじいさんが読んでも、良い本だと感じました。ご自身の吃音をもとに体のことを考えるアプローチですが、本に書かれているとおり、吃音でなくとも自分の体って思い通りにならない。でも、ここからスタートしてみようと改めて思えた一冊でした。「次に読んでほしい本」として巻末に紹介されている本の中に、鹿子さんの「へろへろ」が載っていて、ちょっと嬉しい。
2022/02/09
感想・レビューをもっと見る