稲垣足穂コレクション〈8〉弥勒 (ちくま文庫)
稲垣足穂コレクション〈8〉弥勒 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
だだ
自伝的短編小説集だが、その中でも「菟」が最高だ。病弱な少女に出会ってからの1年ほどの出来事が綴られるが、彼女を見つめる主人公の心の苦しさや切なさがたまらない。少女に置き換えられてはいるが実際は少年(中学生)だったんだよなぁ。それを思うと主人公足穂の苦しみや哀しみがより生々しく伝わってくる。
2014/09/05
feodor
足穂の自伝的作品ばかり集めた中・短編集。 「莵」が少年愛の話っていうのは、あとで父に言われるまで気づかなかったくらいである。「愚かなる母の記」はなかなか良かった。酒びたりになりながらの貧困生活がどの作品でも描かれるのだけれども、「弥勒」よりも「木魚庵始末記」のほうがよりデカダンっぷりを感じた。□□氏に対して、というのもあるのかもしれないけれども。「横寺日記」は、天文への関心がそこここに見えて、その感覚が素敵だった。「弥勒」でも幻想的な小説アイデアが出て来たりして、これまた素敵だった。
2012/05/27
nora
これで足穂コレクション全8巻を読破。ベスト3は、『一千一秒物語』、『少年愛の美学』、『弥勒』ですね。
2012/07/10
tekesuta
東京で星空を見ることができた時代なんだなあ。今では星などほとんど見えないだろう。そして星空をみる楽しみは都会の貧者のものではなくなった。
2012/06/27
oro
改めて天才。コレクションの中でも普通の意味で小説っぽい作品が集まっているが、「莵」「弥勒」「木魚庵始末書」「方南の人」「横寺日記」「白昼見」などは、足穂の作品の中でもベストの部類に入ると思う。
2010/01/22
感想・レビューをもっと見る