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ちくま日本文学027 菊池寛 (ちくま文庫)

ちくま日本文学027 菊池寛 (ちくま文庫)

ちくま日本文学027 菊池寛 (ちくま文庫)

作家
菊池寛
出版社
筑摩書房
発売日
2008-11-10
ISBN
9784480425270
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ちくま日本文学027 菊池寛 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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厩戸皇子そっくりおじさん・寺

という訳で読了。青空文庫にあるものはそれぞれレビューしたが、その他について記す。『新今昔物語』より2篇『弁財天の使』と『好色成道』。『弁財天』は信心深い豪商が痛い目に会う話。普通に面白い。『好色』は、ある女とやりたい一心で勉学に励む修行僧が、学問が進む度に煩悩を失い、大僧正になってしまう話(笑)。これは好きだ。男のサクセスの基本だ。あと短い随筆集『話の屑籠』が僅か6ページ。もっと読みたかった。解説は井上ひさし『接続詞「ところが」による菊池寛小伝』。さすがに芸のある解説である。菊池寛贔屓になった。

2015/11/18

イプシロン

私情を交えず坦々と語っていく菊池節は、ともするとハードボイルドかと思ってしまう。が、そこにはきちんとしたテーマと菊池の心持ちがある。読んでいて号泣するとかいうより、読み終わった後、目の前に晒されたテーマを思索せざるを得ない強烈な印象が残る。特に三十代で書かれた「恩讐の彼方に」「忠直卿行状記」にはそれがあった。仇討ちという感覚は現代の日本人には希薄ゆえか、凄い世界だな……これはと嘆息した。愛なのか憎悪なのか、これは微妙で繊細なものがあると感じた。井原西鶴を耽読し、学生時代に二万冊を読んだ知識の痕跡が明らか。

2014/10/13

カラスノエンドウ

安野光雅装幀の文庫本で、初めての菊池寛。聞こえは悪いが、復讐ものは好物でして。「恩讐の彼方に」は朝の通勤電車で読み、後悔。涙が滲んで気持ちの切替えに困った。「仇討三態」「仇討禁止令」と続く。憎い演出だなぁ。 心のひだに触れるような「勝負事」、君主の悲哀「忠直卿行状記」が印象深い。戯曲2作は爽やかな読後感。いやぁ、ほとんど面白かった! ちくま日本文学は全40巻。次はどの作家を読もうかしら。

2020/09/17

すのさん

どれも本当に読みやすくて面白かった。いい意味で大衆的でわかりやすい。菊池寛が人気作家だったのにも十分に納得した。今風の短編から昔話っぽい短編、戯曲形式のものまで幅広く書けるんだなと。大衆にウケるツボをよくつかんでるな、としみじみ思う。

2019/09/20

ワッピー

小島政二郎作品から分岐。小島氏の「小説」論を検証するために手に取りました。もともとこの時代の日本文学には手を伸ばしてこなかったこともあり、ようやく菊池寛のイメージを捉えられた印象です。題材は違えど、生きる人間に突きつけられる皮肉なシチュエーションをザクザク俎上に載せるダイナミックな持ち味は共通のように思います。巻末の『私の日常道徳』に示されている菊池の合理性は、小島氏が羨ましく思った強さでもあるのでしょう。意外に人間通のように感じました。「約束は必ず守りたい。ただ、執筆の約束は時々守り切れない」はご愛嬌。

2018/09/14

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