苦節十年記,旅籠の思い出 (ちくま文庫 つ 14-6 つげ義春コレクション)
苦節十年記,旅籠の思い出 (ちくま文庫 つ 14-6 つげ義春コレクション) / 感想・レビュー
Shoji
『苦節十年記』どころではなく、生まれてこの方、ずっと苦節続き。ジメジメしていて暗い。しかも赤貧、人前には出られない、挙句、心身は耗弱。いいことなんて一つもない人生のようだが、それを題材にしてこうして執筆活動をしている。恥も外聞も捨て赤裸々に生きることで、人生を謳歌しているかのようだ。つげ義春なる人、全くもってカオスだなあ。
2021/11/22
アズル
新潮文庫の「つげ義春とぼく」(絶版)が収録されている形になっていました。「苦節十年記」や弟・つげ忠男、密航、自分史が収録されているので、読み応えがあります。
2014/02/14
ブラックジャケット
唯一無二のタッチで、強烈な個性を誇るつげ義春のマンガ。そんなつげの回顧録的な旅日記。しかも観光旅館ではなく商人宿に泊まり続ける。昭和には全国を回る商人たちのためのベース基地となった。秘湯めぐりも超マイナーな選択で、モノクローム的な印象となる。後半の自伝も自虐的で、売れないマンガ家つげ義春の軌跡を綴る。つげが生きた昭和にはマンガブームがあったのだけれど、光の当たるところは縁のないマニアだけの世界に支持を得た。最終部の夢日記は、活字とイラストで、つげのノスタルジックでシュールな夢を再現する。創作の秘密だな。
2023/02/28
六波羅
つげ義春のエッセイ集。絵も掲載。温泉紀行と日常エッセイと夢日記という構成。温泉紀行は「逆上(のぼせ)引下げ湯」と呼ばれる精神病に効用のある温泉滞在記が再読ながらやはり興味深かった。この温泉。つげのエッセイのおかげ(?)で温泉マニアには有名で、健常者なのに宿泊を希望する人が後を絶えないらしい。しかし、けんもほろろに追い返され絶対に宿泊できないのだ。日常エッセイは、自殺未遂の話。河原で石ころ拾う話などマンガになった、エッセイや貧乏話が主。貧乏話は暗膽としていて気が滅入ってしまった。 つづく
2014/12/23
Mark.jr
つげ先生の漫画ではなく(いくつかのイラストは収録されてますが)、旅行紀や自伝的エッセイ、夢日記などの文章作品を収録した本です。フィクションというある種のフィルターを通してない分、良くも悪くも著者の気質・人間性が強く出ています。故に全体の雰囲気はかなり暗いですが、ストレートに漫画の元ネタが書かれてもいるので、ファンには一読の価値があるのでは。
2019/04/09
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