ちくま日本文学031 夢野久作 (ちくま文庫)
ちくま日本文学031 夢野久作 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
再読。「日本の夏はやっぱり、怪談 和編」参加本。「いなかの、じけん」が本命だったけど、再読するとほんの一部しか収録されていなかった。やっぱり、面白いので角川文庫で全編収録版が刊行されているから買っちゃおうかな。「押絵の奇跡」はプラトニックな愛の結実をその娘が語る。陶酔としたような語り口は語り手の兄への愛なのだろうか、それとも妄想?何とも人を喰った話である。「人間腸詰」はアメリカでのネイティヴの発音がそのまま、書き起こされているのが面白い。だがフウ嬢の末路に得も知れぬ余韻に浸るしかない。
2021/07/11
優希
やっぱりこの世界観が好きだと再認識させられました。グロテスクでナンセンスながらも文学へと昇華させてしまう手法が見事です。面白かったです。
2022/03/02
優希
この世界はこの人にしか書けないという衝撃を受けました。エログロナンセンスな空気を文学に昇華してしまうのは夢野久作ならではでしょう。そして自分はこの作られた世界に惹かれていくのです。
2022/08/15
ころこ
それなりに読みましたが、著者の良さが分かりませんでした。決まって手紙をはじめとした一人称で、話者の世界を受け入れるしかなく、そのうえ描写が乏しいため、外部に対するリアリティが感じられず、少し長いと読むのが辛くなってしまいました。集中して読めたのは『氷の崖』でした。村上春樹にはたまに出てくる大陸への想像力が今は働かず、90年前に新しさをみた作品でしたが、推理小説に偶然が出てきてしまう致命的欠陥は頂けません。いつも何気なく読んでいる文章にどんな要素があって読むことが出来ているのか考えさせられました。
2022/06/08
紫伊
中短編集。どの話も影があるのだけれど、どの話からも透明さみたいなものを感じた。どの人も自分の罪と狂気に正面から向き合っている感じがするのと、読みやすく読んでいるうちに飲み込まれてしまう文章と情景の美しさからかもしれない。個人的なお気に入りは「氷の涯」。逃げ出すシーンとラストが本当に美しい。
2019/04/17
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