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女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫 ふ 36-18 文豪怪談傑作選 昭和篇)

女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫 ふ 36-18 文豪怪談傑作選 昭和篇)

女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫 ふ 36-18 文豪怪談傑作選 昭和篇)

作家
永井荷風
豊島与志雄
久生十蘭
伊藤整
原民喜
東雅夫
出版社
筑摩書房
発売日
2011-09-07
ISBN
9784480428820
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女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇 (ちくま文庫 ふ 36-18 文豪怪談傑作選 昭和篇) / 感想・レビュー

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sin

荷風:教科書にもその名が記された作家だが物語は前段受けての後半が主題を失して頓珍漢な有様。与志雄:視覚的な文章だ存外に良い。十蘭:ほろほろと温かなる物語、フォークロアとロマンチシズム。整:現と夢のきりりとした曖昧さ。民喜:繰り返す言葉のリフレインがどうしようもなさを演出しているかの要で、ある種の拒絶を含み苦痛を感じさせる(ヒロシマ)。

2014/09/04

藤月はな(灯れ松明の火)

「来訪者」の謎めいた隣の女との一時や子供が親に対して抱く潔癖や妻の隣の女と浮気する夫への歯噛みの鬼気迫る描写が一種の艶めかしさを醸し出していて感嘆しました。「都会の幽気」は人間が犯した罪が人に憑りつき、同じことを引き起こすという不気味にゾクリとします。芥川龍之介や小林多喜二などの亡霊が出てきて自分と関わった死者のもとへと案内役を務める「幽鬼の街」はベアトリーチェも天堂という目的もない「神曲」のような不気味な作品で心に残っています。最後の震災、戦争、原爆で亡くなった人達を悼む「鎮魂歌」は祈りを捧げたくなる。

2013/03/30

HANA

中編が三つ載っているのだが、どれも怪談というより心霊小説のような趣で怪談として読むと違和感ありまくり。荷風の「来訪者」は別の意味で興味深かったのだが、怪異の要素が欠片もないため完全に編者の趣味で入れたとしか思えない。伊藤整の「幽鬼の町」原民喜「鎮魂歌」は共に死者との対話でよくわからない。豊島与志雄と久生十蘭の短編はしっかりと怪談で安心した。他のアンソロジーにはまず収録されない内容、ほぼ初読のものばかりだが、アンソロジーである以上もう少し多くの怪談を読みたかったものである。

2011/09/14

シガー&シュガー

【真夏のホラー読書月間】のために。タイトルの「女霊」というのは果たして適切なのかな?怪談というよりかすかな妖しさがただよう幻のような印象の作品群で、日本語で小説を読める喜びをつくづくと味わえる。平井呈一について永井が描いた冒頭の短編にはおどろいた、どこまで脚色してるのかな?平井の「真夜中の檻」は好きではない作品だったけど読み返してみようと思わせられた。久生十蘭の文章はとびぬけて美しい。いつまでも読んでいられる。伊藤整の短編は夢と現の間を行き来するような不安に満ちているくせに現実的な胸の痛みを感じる作品。

2015/08/22

くさてる

怪談というよりは幻想小説なのだと思う。が、どの作家の筆力にも圧倒された。読んでいて体力を消耗するような読書体験は久しぶり。とりわけ、原民喜の作品は、詩により近いのかもしれないが、叩きつけられるようなリズムとそれによって生じるイメージの恐ろしさと哀しさ、美しさを受け止めきれないほどに強く感じた。後世に残る作というのはこういうのをいうのかもしれないが、この作品に触れること自体が、悪夢のような抜けだせなさであり、力強い言葉の力に翻弄される経験となった。たまらない。

2011/11/01

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