ベランダ園芸で考えたこと (ちくま文庫 や 53-1)
ベランダ園芸で考えたこと (ちくま文庫 や 53-1) / 感想・レビュー
やすらぎ🍀
11階のベランダのバジルが花咲くとスズメがやってくる。こんな高いところまで…そんなに美味しいのかしら。春になると種を蒔きまくる。小さな粒には巨大な生命力という未来が詰まっている。ベランダに植物があれば虫や鳥がやってくる。世界のミニチュア。カラスが来るとビックリするけど。太陽や風や雨との共演が窓枠に広がり、日々の喧騒の中でホッとする。…引越先は広いベランダや日当たりを優先してしまう山崎さんも私も、ベランダ園芸家のようです。この先の人生を、読書をし執筆し、草花を育て畑を肥やし、散歩をして生きていく。素敵です。
2021/04/18
ユメ
ナオコーラさんの考え方が好きで、彼女のエッセイを読むのが好きである。しかも本書のテーマはベランダ園芸。私も昨年ベランダ園芸を始め、今年から本腰を入れ始めたところなので、大いに共感したり参考にしたり、意義深い読書となった。ベランダは世界のミニチュアである。生命の誕生から死までを内包しているという点でももちろんそうだ。だが、ナオコーラさんはそこから更に踏みこんで、植物の成長から人間の生き方や社会の在り方にまで思いを馳せる。とりわけ、作家としてご自身が社会で果たすべき役割についての考えには感銘を受けた。
2019/05/19
ゆりこ
書店に行けないので、無印良品の本棚で購入。ナオコーラさんの、独身〜新婚時代のベランダ園芸についてのエッセイ。私もベランダで植物を育ててたので、共感しながら読めました。それでも、あとがきに全部持っていかれる。お子さん達との生活、充実してそうで羨ましい。
2020/04/25
ぱなま(さなぎ)
ささやかながら観葉植物を育てているが、間引きが憂鬱で家庭菜園はなかなか手が出ない。本書にもこの間引きの残酷さに文学者として悩む項がある。しかし、ある意味で作品世界の神である作家と、菜園の主であるということは似ているのかもしれない。現実では間引くしかなかった存在に、文学は手を差し伸べて居場所を与えられるのではないか。などと思う。 筆者の文章はつねに率直で正直であろうとする。そのことに打たれる。私は普段、いかに虚飾で隠され真実の見えない言葉ばかり使っていることか。それはそれで、言葉の恩恵でもあることだが。
2020/01/09
阿部義彦
山崎ナオコーラさんの園芸エッセイ。「太陽がもったいない」を文庫化に当たり改題しました。園芸を語りつつ自分自身の事ももちろん語って、その考え方こそがこの本の魅力ですね。私生活でも結婚して第一子を流産、その1年後に無事に子供を授かりさらに、また妊娠中。引越しも何度か経験、大震災からベランダに緑のカーテンを敷くことに腐心します。この本の単行本は自身の父の命日に発行されたとか。今は育児に忙しく庭は荒れ放題だそうです。ナオコーラさんはノンシャランな様で実は真面目過ぎるほど突き詰めて考えてる人ですね。
2019/08/11
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