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遠くの街に犬の吠える (ちくま文庫)

遠くの街に犬の吠える (ちくま文庫)

遠くの街に犬の吠える (ちくま文庫)

作家
吉田篤弘
出版社
筑摩書房
発売日
2020-09-12
ISBN
9784480436917
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遠くの街に犬の吠える (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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へくとぱすかる

所々に挿入されたモノクロームの写真。黄昏時の、現実と過去が奇妙に混乱して、自分がざらついた世界に溶解していくような感触。遠吠えの先にある、聴こえる限界ぎりぎりの音と読めない文字と同調するように、作者自身の登場する物語が進んでいく。写真が物語の装飾なのではなく、写真から読み取れる言葉を物語に再現してみせたような小説。夜半に静けさの中で読み終わると、入れ子になったエピソードが、何度も地と文が入れ替わっていくような、次元のちがう世界に連れていかれるような感覚にとらわれる。それは解読してはいけない言葉だったのか。

2021/04/14

南雲吾朗

素敵な小説である。広義的には恋愛小説になってしまうのかもしれないが、その枠に納まらずとにかく素敵だ。音で観る冴島君、強制的ではないが自分の思った方向に導く茜さん、代筆屋の夏子さん、主人公の吉田君、そして、私が何よりも素敵だと思う白井先生。登場人物がみんな個性的であるが凄く魅力のある人達であった。吉田篤弘さんは何でこんなにも楽しく、面白く、そしてちょっぴり切ないストーリ紡ぎだせるのか…本当に素敵だ。ふと思ったのだが、私にとって吉田さんの小説は、長い旅から帰ってきた我が家の匂いがする。どことなく安心するのだ。

2020/09/28

優希

偶然に偶然が重なってできる美しい協奏曲のような物語でした。

2020/12/09

ともこ

代筆を装いながら、心を寄せる辞書編集者に手紙を書き続けた女性の話。老編集者の最期の手紙を読んで、静かなモノクロ写真が突然温かい色彩に包まれたような気がした。見えるものだけでなく、聞こえるものだけでなく、たまには心静かに聞こえざる声を聴いてみたいと思った。そういえば、犬の遠吠えを聞かなくなった。「さみしくない」のか、最近の犬?最後のページに「装幀者安野光雅」の文字を見つけた。どのように関わられたのかわからないが嬉しかった。

2023/01/27

ぴの

本当に伝えたい想いは、どんな言葉に当てはめようとしても当てはまらない。それが、言葉のプロでも読者の私でも、もどかしさは同じなのかもしれないと感じた。過去に読んだ著者作品でも、「物語に書かれてあることだけが全てではない。」と書かれてあったことをまた思い出す。行間を空白を読むこと、物語を読み取り自分の頭で考え想像すること、耳を澄ませること。そう言ったことを大切にしながら、これからも物語を読んでいきたいと思った。(あ、やはり、本当に伝えたい感想が上手く書けないです(^^ゞ)

2022/12/03

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