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須永朝彦小説選 (ちくま文庫)

須永朝彦小説選 (ちくま文庫)

須永朝彦小説選 (ちくま文庫)

作家
須永朝彦
山尾悠子
出版社
筑摩書房
発売日
2021-09-13
ISBN
9784480437693
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須永朝彦小説選 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

読了後、どうしてこの作者が在命時に作品を読み漁らなかったのかと己の節穴ぶりに歯噛みするしかなかった。耽美な世界感、決してヒステリックになり過ぎず、世界を冷徹な眼差しを以て語る玲瓏たる美文に惑溺。時を永らえる女の浅墓な思惑を拒絶する青年たちの最も艶な死に姿に微笑みが零れる「ぬばたまの」、不変の美に傅く愉悦と懊悩、そして残酷美に彩られた「天使Ⅱ」、麗しき蛇に巻き付かれたくなる「悪霊の館」、俗物で醜悪に生きる家族を唾棄しながらも己が求める美しき関係にはたどり着けぬ無常に立ち竦む「聖家族」シリーズがお気に入りです

2021/09/28

HANA

文章には様々な働きがある。例えば情報を伝える、や小説として人に様々な感情を呼び起こせる等。ただ極まれに文章自体が持つ美しさに魅せられる事がある。本書に収められた小説群はその稀有な例にあたるのではないか。ここに書かれているのは吸血鬼や天使、維納に東欧と憧憬と郷愁を呼び起こすものばかり。それを宝石の研磨にも似たような細心さで練り上げた鏤骨の文体で磨き上げている。例えば冒頭の「契」。僅か数頁の小品だが、その文章、何度も読みなおしその美しさに耽溺させられる。読書を趣味とする上で、本書を読まないのは不幸である。

2021/10/02

ふくしんづけ

わあい吸血鬼ってことで、『就眠儀式』。それと『天使』が良い。青少年の美という点では、朧げに著者と重点が違うかと思うも頭で微修正するので特に問題なし。頁をパッと見の印象と比べ、集中力は要するが読みやすい。歌人や中井澁澤ら多数の耽美派の影響が濃いとあって、完璧主義的精巧な文体。『就眠儀式』中、比較的長めな『樅の木の下で』は類型的な、無念たる、「バカッ」と(主人公に)言いたくなる結末だが、同『森の彼方の地』ではそれを晴らす異界に憑かれた者には僥倖の結末。どれも研究された割と従順な吸血鬼譚だが細部で飽きさせない。

2021/09/26

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