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すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫)

すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫)

すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫)

作家
長田弘
出版社
筑摩書房
発売日
2022-04-11
ISBN
9784480438126
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すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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夜長月🌙@5/19文学フリマQ37

私(読者)への手紙39篇がおさめられています。テーマは様々ですがことばが心に伝わってきます。ことばは人と人を結ぶものであり、またものは名づけられることで理解できるようになります。最近どんどんことばが貧しくなっていることを嘆いています。草木の生える土の道が、固まったアスファルトの道に置き換えられたように何にでも使えることばが流行ったり重宝されたりしてしまっています。

2023/11/14

tamami

以前、読友さんが紹介されていた。長田さんの本と言えば、ずいぶん前に『読書からはじまる』という本を読み、その中の「本という考え方」に記されている部分が印象深かった。本書は、初読という点ではそれ程のものはないけれども、何回か読み込むことでより味わいが深くなりそうな気がする。「世界は一冊の本」であるとか「のこしたい10冊の絵本」とか、やはり本にまつわる話題が多い。その一冊として、郷土出身の武井武雄の絵本が、日本の絵本として一冊だけ挙げられていて、誇らしい気持ちになった。静かな時間と空間の中で、再び頁を捲りたい。

2022/04/26

pirokichi

詩人長田弘さんの39篇のエッセイ。「どんな時代にも、ひとが本にたずねてきたものは、けっして過剰なものではなかったはずです。わずかなもの。一冊の本の大きさほどの、小さな理想です」「微笑というのは、微笑をもった空の下にいるという明るい感覚が生む人間の表情なのだ」「死によってもたらされるのは虚しさですが、いちばんいい記憶を後に遺してゆくものもまた、死です」「ただ結びあわせよ」尊敬する師が私に宛てて寄せてくれたメッセージのように優しく胸に届く。「のこしたい10冊の絵本」は必ず読みたい。解説は谷川俊太郎さん。

2022/04/20

ハルト

読了:◎ 「きみ」とはすなわち「私」なのか。短くやさしい言葉で紡がれた、詩人からの手紙という形のエッセー。そのどれもが、どこか真理をついているようで、ハッとし、言葉以上の言葉に気づかされる。特に「戦争の言葉」は、ウクライナ紛争の只中のいま読むと、その達観に驚かされる。心に留まる、しんとした沈黙の言葉を与えてくれた手紙だった。

2022/06/18

海燕

よい本だった。折に触れて読み返したい。手紙という形式ではなくエッセイだが、長田さんだけあって詩を読んでいるようだ。少年期の「きみ」に宛てた内容でもなく、大人が読んでも実に深い。「ひとの人生は、やめたこと、やめざるをえなかったこと、(略)でできている。物語のはじまりは、いつも(それら)瓦礫のなかにある」 また後記で「文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、じぶんにとって無くてはならぬ存在に変えてゆくこと」 抽象化とか比喩によって世界を捉えかえす作業に、少年時から惹かれていたことに、改めて気づいた。

2022/04/28

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