人はなぜ物語を求めるのか (ちくまプリマー新書 273)
人はなぜ物語を求めるのか (ちくまプリマー新書 273) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
人間が(つまり私も)何かを知るということには、物語化がつきまとう。因果関係がないところに、因果の線をひいて理解してしまうということだろう。それがどんなに危ないかを警告してくれる。暗黙のうちに、世の中や人々が、自分の思った通りに動かないことに怒りや苛立ちを覚える習性ができてしまっている、というのも、恐ろしいけれど、注意しておきたい。「自分の思った通り」というのを正直に認めたくないために、常識や習慣、宗教や道徳の顔をしているから、やっかいなのだ。現代社会にある問題の多くがここにあるなと感じた。おっとこれもか?
2022/03/03
harass
レビュで気になっていて図書館に来たので借りる。小説の文芸批評の本かとおもっていたが、物語(ストーリー)に人間はいかに捉えられているか、それを求めるかについて論じる本だった。人間の認知の癖やバイアスのことだ。自己啓発的な意味合いもあり、なんとも分類が難しいが、実に知的好奇心をくすぐられた。いろいろな方面に深く考察ができる話題がおおく、「黒子のバスケ」脅迫事件のことは知らなかったが実に興味深く示唆に富んでいる。個人的に考えていたことをきちんと論じてあり唸らされた。これはぜひおすすめの本。
2017/05/03
佐島楓
人は人生において、物語の形でものごとの因果関係を解釈する傾向が強い。その物語を一度解体する試みをしてみたいな、と少し思ったりもした。
2017/03/14
ナマアタタカイカタタタキキ
ここでいう物語とは、その事象のあり方というより、その事象の経緯の周辺にある別の事象との因果関係を指す。一見道理に適っているような物語や、その世界が公正であるという前提は、紐解いてみると実はそもそも因果関係になかったり、思いの外恣意的なものだったりすることがある。共通項はわかりやすさであり、人々は屡々それが齎す安堵感に縋りたくなる。それらを全て退け断ち切ることは、たとえ頭で理解していても、その実践は非常に困難だ。それだけ本能的な衝動であるともいえる。それでも大事なのはやはり“頭の中でその仕組みを→
2023/03/04
藤森かつき(Katsuki Fujimori)
「わかった」には、麻薬的な気持ちよさがある。や、「悪い結果」が与えられた時、「これにはきっと悪い原因があるに違いない」と勝手な空想をしがちだけれど、〈理由のないこともある〉と認める。嘘でも良いから説明がほしい。など、印象深い。人は物語る動物で、多くのことを決めつけて生きている、というのが沢山の文献などを示して、わかりやすく語られているのだが、いかんせん私には難解。ひとつひとつの話には納得できるし、物語るせいで陥る苦しみから逃れる手立てがある、というのは朗報だと思う。カミュの「異邦人」は読んでみたくなった。
2019/04/28
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