アンドレ・ジッド集成III (シリーズ・全集)
アンドレ・ジッド集成III (シリーズ・全集) / 感想・レビュー
みつ
『法王庁の地下牢』のみ読了(p5〜248)。中心となる人物が頻繁に変わり、特に最初に登場する人物たちのその後の物語の進展との関係は薄く戸惑いは隠せず、それでも不思議な疾走感をもたらす作品。題名からキリスト教との関係を掘り下げる作者らしい内容かと思いきや、法王を巡る怪しげな風説に翻弄される人々とそれを利用する集団、プロトスという怪しげな人物の暗躍、彼らからも孤立してゆくラフカディオの行為が徐々に繋がっていく。「悪なるものは、善と同様に《無償》でありうる。(p178)」というのがこの作の基調をなしているのか。
2023/05/03
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