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ぐるり (単行本)

ぐるり (単行本)

ぐるり (単行本)

作家
高橋久美子
奈良美智
出版社
筑摩書房
発売日
2021-04-16
ISBN
9784480805027
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「ぐるり (単行本)」のおすすめレビュー

元チャットモンチー・高橋久美子初の小説集『ぐるり』――すれ違い交差する人たちから目が離せない、新たな世界を予感させる19編!

『ぐるり』(高橋久美子/筑摩書房)

 元チャットモンチーのドラマーで、現在は作詞家、詩人、作家として活躍中の高橋久美子氏が初の小説集『ぐるり』(筑摩書房)を上梓した。19の短編から成る本で、それぞれのストーリーは一応独立している。だが、この手の本によくある「どこから読んでも大丈夫」という惹句は本書には当てはまらないのでご注意を。ある人物が時空を超えて複数の短編に登場するなど、精巧に仕掛けられた構成の妙が本書の醍醐味だからだ。

 例えば、複数の男女のすれ違いやつながりを緻密に描く手さばきは、『愛がなんだ』などで知られる今泉力哉監督の映画に近いところも。人間交差点的な作品、とでも言えばいいだろうか。絡み合い、こんがらがった人間関係が終盤に向かってクリアになってゆくのは、本書にも今泉作品にも当てはまる。思わず人物相関図を作ってしまいたくなる、という読者もいるのではないか。

 本書所収の19の短編は、どれも設定がユニーク極まりない。男子学生が主人公の「蟻の王様」は、彼が地下に通じる扉を開くと、蟻の王国が広がっているという話。チョコレートを細かく削ったものを学生…

2021/5/31

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ぐるり (単行本) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ままこ

奈良美智さんの表紙に惹かれて手に取った。キュートな挿絵もあって嬉しい。ちょっと変わった人間模様にSFファンタジー要素が自然と溶けこみクロスする連作短編集。不思議系ほのぼの「蟻の王様」、“流動的な私の体内”という言葉が印象的だった「私の彼方」、♪ジュボボボーン。クロスの源「DJ久保田#1#2」が良かった。チャットモンチーの元ドラマーの高橋さんとは知らずに読んだけどシニカルでどことなく愉快。飄々した独特の感性が光っていた。

2021/06/29

美紀ちゃん

奈良美智さんの表紙に惹かれて読む。 短い短編集。 登場人物が少しずつ、つながってぐるりと回る。 奥付も丸くて可愛い。 サ高住→ サービス付き高齢者向け住宅。 マクロビ料理も気になる。 DJ久保田のところがよくつながっていて興味深い。 元チャットモンチーの高橋久美子さん。 素敵な人なので、また次の作品も読みたい。

2021/08/11

Willie the Wildcat

郷愁漂う心底を吐露。喜怒哀楽、自己解決の気持ちと、DJに聞いてもらいたい気持ちが交錯する”二部構成”。印象的なのが『蟻の王様』。遠い昔に、亡き母方祖父と2人だけで出掛けた唯一の機会に買ってもらったゴムボールと、祖父の家に泊まった時に湯たんぽと共に一緒に寝た思い出が頭に浮かんだ。「盆栽」に前者、「部屋の箪笥の匂い」に後者が重なる。次に、グッと来たのが『指輪物語』。公私での俊介の発言がツボ、”気持ち”なんですよね。最後に『四月の旅人』が、「季節が”ぐるり”回ってまた桜の季節」って感じで〆る。

2022/03/03

紫 綺

周りを「ぐるり」と見渡すと多種多様な人たちがいる。生きものたちがいる。それぞれの「生き物語」を描く19編の短めの短編、だが中身は濃かった。

2021/10/23

♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤

奈良さんの表紙の絵にひかれて。高橋久美子さんは、元チャットモンチーのメンバー。本書は、日常の断片を切り取った19の短編集。『柿泥棒』の白昼堂々とよその家の柿をとる大胆さに驚き、その取った柿が渋柿だったことに大笑いしたり、『指輪物語』の指輪が本物でなくても、祖母との思い出としての価値を重視する恵さんにほっこりしたりなど、派手さはないが、心に少しずつ染み込んでいく感じが心地良い。全部ではないが、少しずつ繋がったり、交差したりして、くるりと回転するようにつながるのがいい。何気ない日常が愛おしく思える1冊。

2022/05/23

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