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「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本)

「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本)

「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本)

作家
川端裕人
出版社
筑摩書房
発売日
2020-10-24
ISBN
9784480860910
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「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本) / 感想・レビュー

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アキ

著者と同じ年なので、学校での色覚の検査を覚えている。日本で優生思想が広がったのはむしろ戦後で、教科書で色覚は遺伝病の一つだった。1970年代色盲を劣性遺伝とし苦しめられていた人々がいた。優生保護法は1996年まで現役だった。2004年学校での色覚検査が廃止されたが、今度は就職の際に自分が色盲だと初めて知り採用されないケースが相次ぎ、日本眼科学会の推挙で2014年色覚検査が復活した。そもそもヒトの4割がなんらかの色覚異常を持ち、誰もが違った色の世界で生きている。それを知るだけで読んだ価値があった。

2021/03/17

アキ

再読にて「色覚は、連続しており、多様であり、広い分布がある」という21世紀の回答に、多様性の時代・ゲノム時代の練習問題だという著者の主張がより良く理解できた。20世紀に眼科医が中心となり、色盲は遺伝病とした優生思想から、異常を見出す立場の医療が社会を巻き込んで学校でのスクリーニングを行ってきた。色覚において軽微な変異3色型も含めると約40%もの多様性があり、進化の過程で遺伝子上にL、Mオプシン遺伝子は近接しており交差しやすく、2017年日本遺伝学会が色覚異常は多様性とアナウンスを行った。そもそも光に色は→

2022/07/11

よしたけ

色覚異常のメカニズムと社会の問題点に切り込む。私自身が色盲のため手に取った。自分は小学校の検査で色盲を自覚したが大きな不自由なく生きてきた中、00年初頭から義務教育の色覚検査が一時期取り止められていたこと、他方で過去には酷い差別があったことに驚き。黒板に赤チョークは見にくい等の色盲あるあるに親近感覚えつつ、色盲メカニズムや類型を知れて有意義であった。筆者の、色盲は異常でなく多様性の一つでこれを受け入れる社会環境整備を、との訴えは最もだが、職業選択の不自由等が残る中、どこまで受容性が高まるか期待したい。

2021/05/07

yutaro13

色覚異常の問題に鋭く切り込む好著。同じ目でも「屈折異常(近視)」と「色覚異常」とでは後者の異常性が際立つように思えるなら一読を。実は遺伝学・進化学の観点からは正常と異常の間に線引きはできず、人口の4割が「軽微な色覚異常」とのこと。隣の人とは見えている世界が違うということだ。昔私も学校で受けた色覚検査は単に「検査表が読めない」人をスクリーニングするにすぎない。2004年に廃止された色覚検査の復活について、著者の主張は手厳しい。色覚臨床の現場にも「色覚の多様性・連続性」の視点が取り入れられることを願う。

2021/04/16

たまきら

読み友さんの感想を読んで。川端さんの新刊は、色覚異常と社会への適応について書かれていて、正直目からうろこ、です。映画「リトル・ミス・サンシャイン」でお兄ちゃんを絶望に陥れる色覚検査。映像の仕事をしているときに色弱のクライアントがいて、テロップの色を細かく打ち合わせました。就職できない職業もある中、色覚のとらえ方を多様に解釈し、サポートできる環境を作る、というアイデアには共感しました。人の脳にもカラーバーが応用できたらいいんですけどねえ。

2022/11/06

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