下級国民A
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「下級国民A」のおすすめレビュー
除染作業員は“下級国民”なのか? 震災復興の裏に渦巻く闇を赤松利市が告白
『下級国民A』(赤松利市/CCCメディアハウス) 2020年1月24日の夜、ネット上で目にした速報に心が躍った。それは、第22回大藪春彦賞の受賞作が赤松利市さんの『犬』(徳間書店)に決定したというもの。赤松さんといえば、住所不定・無職の状況で書き上げたという『藻屑蟹』(徳間書店)で大藪春彦新人賞を受賞した鬼才だ。 衝撃的なのは、作家としてのプロフィールだけでない。デビュー後に続々と刊行された作品はどれも代表作となり得るほどインパクトがあり、圧倒的な存在感を放つ。人の心の闇が暴力的に描かれているのに、どことなく温かみが感じられる赤松さんの作風は、筆者をはじめ多くのファンを痺れさせてきた。 そんな赤松さんが大藪春彦賞受賞後に刊行したのは、自身初となるエッセイ本『下級国民A』(CCCメディアハウス)。本作には東京で住所不定に陥るまでに見た被災地での生々しい記憶が綴られている。
「狂乱の復興バブル」の東北で見た“日本の闇”
本書の内容は、2011年の東日本大震災発生後、まだ半年も経たない夏の日に土木会社を営むある社長から、自身の息子を伴い東北…
2020/3/29
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下級国民A / 感想・レビュー
starbro
以前から気になっていた赤松 利市、初読です。バブル期の上級?国民から下級国民に転落した著者の壮絶なノンフィクション、東日本大震災後の底辺のリアルが実感出来ました。著者は、著書が多少売れて中級国民に返り咲いたのでしょうか?私は、生まれてこの方中級国民Aです(笑)次は著者の小説を読みます。 https://ddnavi.com/review/606748/a/
2020/06/07
いつでも母さん
『美しい国?日本が?この話、すべて真実』東日本大震災の後、赤松さんが生きた数年がここにあった。【藻屑蟹】や【ボダ子】とダブらせて初の随筆。『終わったな。』どうにも遣る瀬無くこの言葉が響く。圧倒的に壮絶な状況のあと必ず興る者いれば、陰で泣き憤る者もいる。終わってからの批評は易いが、そもそも大義名分の旗振りを見誤ってはいないか?そんなことを感じた。
2020/03/26
おしゃべりメガネ
著者初の随筆とのコトですが、とにかくリアル。実際のトコ、どうかはわかりませんが、きっと現場はこうだったんだろうなぁと思えるほどリアル。『藻屑蟹』や『ボダ子』を読んでるとよりいっそう、本書の持つ圧倒的な読ませる力に便乗できます。200ページちょっとながら、読了後はグッタリ。東日本大震災復興作業に関わった話が描写されていますが、とにかくへヴィ。こういうの読むと本当に我が国日本の未来が心配になってしまいます。本作から何かを学びとるのは、ちょっと難しいかもしれません。とにかくただひたすらリアルな現場を感じます。
2020/03/20
スエ
下級国民 S(スエ)レビューしますっ!「非正規雇用者の哀愁」肉体労働に環境の過酷さ、人間関係の難しさ『藻屑蟹』を更にエッセイとして仕上げた一冊。特筆すべきは個性的な仲間たち。イオンに寄ってもええかな?「いーおん!」……笑わなければ仲間外れにッ❢お好み焼きにはウスターソースだと言い張られ、雪の中を徒歩で往復一時間!!……しかも無かった。そして、お好み焼きも食べ尽くされて無かった(涙) 宿舎では、蛇2匹を虫かごで飼う男に、夜中に髭を抜き続ける男あり。肉体的にも精神的にもボロボロ。正義はどこにあるんだッ?!
2021/12/13
fwhd8325
このストレートすぎるタイトル。もっと怒っているのかと思いましたが、これまで発表された小説を読んでいるせいか、案外冷静な内容だと感じました。本当は、もっと、もっと怒っているはずなのに。あの震災の裏で、と驚くことはありません。あれから続く現在を考えると、日本は本当におかしくなってしまったんじゃないかと思います。小説として読むときは、少し距離を感じることができますが、エッセイは、その距離が近いようです。赤松さんも、私たちももっともっと怒っていいんだと思います。
2020/06/23
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