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時計を忘れて森へいこう (クイーンの13)

時計を忘れて森へいこう (クイーンの13)

時計を忘れて森へいこう (クイーンの13)

作家
光原百合
出版社
東京創元社
発売日
1998-04-01
ISBN
9784488012205
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時計を忘れて森へいこう (クイーンの13) / 感想・レビュー

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クリママ

3つのミステリーが込められた物語。清里に引っ越してきた女子高生が、その土地の自然保護、環境教育団体のレンジャーの青年と知り合う。彼の語る自然観には共感でき、彼に思いを募らせていく女子高生の思いも微笑ましい。清里によく合っている。日常のささやかなミステリーよりもその二人の交流や自然に対する考え方が主題のようだ。だから、その爽やかさや温かさがいいのだけれど、ワトソンーホームズ型と言うことなのだろうが、先に読んだ北村薫「空飛ぶ馬」に、年齢を少し下げただけの2人の設定、解決方法があまりに似すぎていて、…だった。

2022/12/16

あつひめ

もしかしたら・・・この物語は森の妖精たちの住む世界なのではないか?と思ってしまうほど、人間が足を踏み込んではならないような森をイメージさせる。森を守る人・・・きっと聞き耳頭巾を毎日被って自然の声に耳を傾けているから人の心も透けて見えてしまうのかもしれない。自然の中で生きることは死といつも隣り合っている。でも・・・その死にもきっと何かの意味や死者からのメッセージがあるはず。暗闇の中で過ごすふくろうタイム・・・何も見えないようでちゃんと自分の心が見える時間。私も体験してみたい。読後も心地よい作品だった。

2010/11/04

SIGERU

日常系ミステリの名品。北村薫の短篇集『空飛ぶ馬』と共に、折にふれて繙読してきた。読み返すたびに瑞々しい。光原百合自身も、こういう透明な作品は、その後書けていないようだ。作者にとっても一期一会の、いわゆる「幸福な」短篇集といえる。 舞台は、八ヶ岳や清里の美しい自然。主人公の若杉翠は、森林レンジャーの護さんに好意を抱いている。探偵役となる彼は、関係者に語りかけることによって、人の心の秘密を解きほぐしていく。京極夏彦の「憑き物落とし」に近い手法だが、護の語りは誠実で、人の心の奥底にまで届く錘のように重厚だ。

2021/09/14

ゴリ

ミステリー風の作品ですが、人が見えない所の謎を解くおはなしです。1話ではちょっと物足りなさを感じたのですが、読み進むうちに、主人公が森の中で過ごす時間が輝きを増すように、物語もどんどん面白みを増していきます。そしてとても静かな、癒しの物語が爽やかな森に包まれたような心地良さ。私もゲーム「トラストフォール」やりたいなあ!

2010/09/30

チガ

森の素敵な風景と、柔らかい語り口で透明感のあるお話でした。解説に癒しの文学とありますが、まさにそんな感じです。こんな雰囲気だとファンタジーでもいけるのでは?と思ってしまいます。ミステリーとして読むと、主人公の翠がちょっと鈍いのではないかと思いますが、こののんびりした雰囲気によるものなのでしょうか。

2013/07/01

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