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探偵小説と記号的人物(ヨミ キャラ/キャラクター) (キイ・ライブラリー)

探偵小説と記号的人物(ヨミ キャラ/キャラクター) (キイ・ライブラリー)

探偵小説と記号的人物(ヨミ キャラ/キャラクター) (キイ・ライブラリー)

作家
笠井潔
出版社
東京創元社
発売日
2006-07-27
ISBN
9784488015213
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探偵小説と記号的人物(ヨミ キャラ/キャラクター) (キイ・ライブラリー) / 感想・レビュー

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ポン・ザ・フラグメント

もうこの本から10年。小説の主体は作家なのか、読者なのか、社会なのか、小説とは現象であるのか、テクストであるのか、何が何だかわからなくなっている。大量死と探偵小説の「偽史」と言われてしまうのもごもっともだよな。戦前の本格探偵小説作家や彼らが生まれた背景を軽んじているのではないか。また、80年代後半の新本格派の台頭にしてもその前に横溝ブームが下地としてあったことはまちがいないのだし、むしろそちらの方が新本格派よりもずっと大きなムーブメントであったはずで、もっと真剣に「犬神家」受容の問題を考えるべきだと思う。

2016/06/12

aritan

清涼院流水『コズミック」を中心に、精神病、多重人格、二次創作、キャラ萌えなどを推理小説との関わりを考察した評論。『コズミック」についてネタバレは当然ながら、そもそも『コズミック』を読んでいないと意味不明なので注意。ついでに、『モルグ街の殺人』なんかもネタバレするかな。また、『コズミック』を評価した論者、とくに大塚英志への批判にかなり紙数を割いております。 読み応えのある評論となっているので、『コズミック』問題に興味のある読者には文句なくおすすめできますよ。

2017/03/14

ぐうぐう

第一次及び第二次大戦の大量死という過酷な体験が本格ミステリを復興させたとする論旨を柱にした笠井の探偵小説論『ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?』は、第2巻で1980年代の後半に生じ、90年代を通じて発展した現代日本の探偵小説運動(第三の波)の作家を中心に現代の探偵小説の状況を解読していく方向へと進んでいく。第3巻にあたる本書では、京極・森以降、探偵小説形式を逸脱した清流院を代表とした脱格系の作家を通して、21世紀の探偵小説の未来を想像する。なんともスリリングな探偵小説論だ。

2009/04/02

ハイザワ

探偵小説は「謎ー論理的解決」という近代的思考を前提とする。しかしこの形式は必然的に登場人物をキャラ=近代的内面を持たない人形に変えてしまう。謎を解くという物語の形式が、登場人物に〈犯人〉〈探偵〉〈被害者〉のような役割を全うすることを強いるためだ。こうした探偵小説の逆接は、東浩紀が示した「データベース消費」的な要素を探偵小説という形式が当初から有していたことを示している。清涼院流水の革新性は、「謎-論理的解決」という探偵小説の骨子を放棄したことで、登場人物の記号化を露骨なまでに押し進めてしまった点にある。

2017/12/26

POWER

手塚治虫が何故ぷにぷに絵で残酷なことを描くのか、に対する解釈は斬新。(色んな論者の述べてきたことが全部ひっくり返りそうな解釈だ。)「トラウマ的な徴候」はシミュラークルである、というくだりも面白い。西尾維新のキャラは「萌え要素の束」あるいは「動物」にすぎないのに、なぜか逸脱して「人間」的な哀切さを感じさせる、というのは同意できるが、まさにそうだからこそ僕は西尾が嫌いなのだ。◆この本を読んで改めて思ったのは、僕は僕の世代(90年代生まれ)にしては少数派?の、世界に「意味」を求める側の

2015/09/07

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